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最新技術でドローンを破壊!相次ぐテロに対抗する「アンチドローン技術」に世界各国が食指

文=河 鐘基/ロボティア編集部
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最新技術でドローンを破壊!相次ぐテロに対抗する「アンチドローン技術」に世界各国が食指の画像1ドローン技術はしばしば軍事用に転用される。(写真は「Getty Images」より)

 2018年がドローンの年ならば、2019年は「アンチドローン技術」の年となるかもしれない。そんなメディア報道が増えている。

 昨年末、英国ガトウィック空港では2機の不審なドローンが侵入し、36時間におよび滑走路が閉鎖された。遡ること数カ月、8月にはベネズエラで、ニコラス・マドゥロ大統領の演説中に数台のドローンによる爆破事件が起こっている。お隣・韓国ではドローンによる盗撮事件が後を絶たないという。

 このような状況の中で、テロや犯罪に使用されるドローンを取り締まるアンチドローン産業の規模は、世界全体で現在の約5億ドルから2025年には23億ドルまで膨れ上がるという見解もある。

 2018年8月、英政府はイスラエルのラファエル社が開発した「ドローンドム」(Drone Dome)なる装置を軍事用に調達した。これにより、不審なドローンを取り締まることを想定しているという。一方、敵の無人機が目標に到達する前に、これを電磁的干渉により妨害することに焦点を当てる企業もある。たとえば、米国サンディエゴのスタートアップであるシタデル・ディフェンスカンパニー(Citadel Defense Company)は、Wi-Fiと無線操作信号を探知するドローン探知および干渉システムを開発している。この会社独自の「ハンターアルゴリズム」(Hunter Algorithm)は、指示されたマシーンラーニングモデルとニューラルネットワークを使って、ジャミング信号を生成し、地域の無線周波数システムには影響を及ぼさないという。

ワシを使ってドローンを捕獲

 ドイツの別のスタートアップ企業である、「ディドローン」(Dedrone)社では、領空内の不審ドローンの存在を利用者に警告するシステムの開発に力を注いでいる。ドイツテレコムのような通信社、軍隊などさまざまな顧客に対して追跡とモニタリングサービスを提供している。2016年のリオデジャネイロ五輪では、カタールの王族一行を警護したことで一躍名を馳せた。

 昨年、ディドローンは、よりハイレベルなアンチドローンシステムの開発のため、米国オハイオに本社を置くバーテルと手を結んだ。バーテルの「ドローンディフェンダーV2 C-UAS」(DroneDefender V2 C-UAS)装置は、妨害電波によりドローンのGPS装置を麻痺させ、飛行を遮断させることが可能だ。最大400m先に強制着陸させることができ、ドローン以外のあらゆる装置に対して無害であるという。

 オーストラリアのクイーンズランドで開かれたコモンウェルス・ゲームズ(Commonwealth Games)の期間中、同国の「ドローンシールド」(DroneShield)社は、無線周波数センサーを利用し、不審な動きを見せる可能性のあるドローンの識別を試みている。オランダでは警察と「ガードフロムアバーヴ」(Guard From Above)社によるワシを使ったドローンの捕獲テストも行われた。ワシは空中から対象を俯瞰し、敵ドローンを損傷させることなく捕えることができるということである。

 なお、冒頭で述べた英国ガトウィック空港の事件以来、ロンドン・ヒースロー空港警察では、「スカイウォール100」(Sky Wall 100)というバズーカ型捕獲武器での武装を予定している。これは、ベルリンでのオバマ大統領の警護に使用された装備だ。この装備は、網を発射してドローンを捕獲したのち、パラシュートで安全に着陸させる機能を有する。

 英国では2019年に政府がドローン法案を成立させ、警察が敵対的ドローンを処理する権限を持つことになる。このようにアンチドローン装備の使用や使用権限を軍隊や公権力に限定しているのは、英国だけではない。米国も同様であり、前述のバーテルは「UAS(無人航空機)を撃墜するような従来の防御メカニズムは、米国内で歓迎されていない」とも語っている。

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