インダストリー4.0は本当に「革命」となるのでしょうか。あるいは「単なる空想」なのでしょうか。本連載3回目の今回は、物流における「空想」について見ていきたいと思います。
インダストリー4.0(以下、「4.0」と呼ぶ)の世界では、世界の工場がセンサーとインターネットでつながることで「まるでひとつの工場のようになる」といわれています。これに3Dプリンタの技術が合わさることで、自分だけのカスタム製品が簡単に手に入るようなことも想定されています。
これまでの2回の連載で見てきましたが、この4.0には希望的観測が多く入っています。この「まるでひとつの工場のようになり、自分だけのカスタム製品が簡単に手に入る」というのも、実はこの類の話と変わりありません。というのも、「物流」と「情報流」を同じように考えているからです。
今では当たり前になったインターネットの世界では、アメリカのサイトにある映像データを日本の家庭で瞬時にダウンロードすることができます。まさにネットワーク技術のイノベーションにより実現した「革命」です。では、モノづくりの物流において、これと同じようなことは可能なのでしょうか。
例えば、あなた向けのフルカスタムのジョギングシューズをつくることを想定してみましょう。サイズ、ワイズ(幅)、靴底(クッション)、色をカスタムするとします。世界中の工場がつながっていることを想定するので、それぞれの部品は違う国でつくっているとします。靴底はマレーシア、インソールは中国、上部の足を覆う部分(アッパー)はアメリカでつくっているとして、最終組み立てを日本で行うとします。
インターネットのオーダリングシステムに靴のサイズ、ワイズを入力すると、それに応じてマレーシアの部品工場がそのサイズの靴底をつくります。併せて、中国のインソール工場、アメリカのアッパー工場も製作をスタートします。靴底、インソール、アッパーは、最新の設備を用いれば、シート状のものからレーザーでカットできるので、いろんなサイズのものが混在してもモノづくりはできるでしょう。