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第2のスルガ銀行…西武信金、自画自賛の驚異的成長の裏で暴力団融資、不動産向け融資偏重

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森・前金融長官が西武信金を「信金の雄」と絶賛

 驚異的に業績を伸ばす西武信金を“信金の雄”と絶賛したのが、森信親金融庁長官(当時)だった。

 16年11月8日、東京・千代田区大手町の大手町フィナンシャルシティで、第5回産業金融フォーラムが開かれた。東京の中の“地方”創生にスポットを当てた。森長官は基調報告で西武信金を褒め称え、続けて森長官と西武信金の落合寛司理事長の対談が企画された。

 森長官の後ろ盾を得た落合氏は、政府委員として足場を築いていく。金融庁金融審議会専門委員、中小企業庁中小企業政策審議会委員、経済財政諮問会議の政策コメンテーター委員会委員になった。母校の学校法人亜細亜学園の理事長にも就いた。

 まさに得意の絶頂のさなかに、スルガ銀行による女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」への不正融資が発覚。投資用不動産向け融資が突出している西武信金は、「第2のスルガ銀行になる」(有力金融筋)と噂された。

 そこへ指定暴力団の関連企業への融資が明るみ出たことで、万事休す。不動産のミニ・バブルの徒花(あだばな)に終わるのだろうか。“信金の麒麟児”と称された落合理事長は、引責辞任に追い込まれると報じられている。

 西武信金を「信金の雄」と絶賛した森氏は、スルガ銀行も「地銀の優等生」と持ち上げていたことでも知られている。

 金融庁を退官した森氏は、昨年秋から米コロンビア大学国際公共政策大学院で非常勤講師として、日本の金融政策などを教えている。スルガ銀行、西武信金の経営体質(=経営の健全性)をなぜ見誤ったのか、告白を聞きたいものである。

 西武信金は「『適切に業務をやってきたつもりだが、今はコメントできない』と話している」(4月9日付日経新聞)という。

金融庁、“反社”取引を緊急検査

 金融庁は西武信金の指定暴力団関連企業への融資疑惑を受けて、5月中にも全国の金融機関に対し、反社会的勢力との取引について緊急検査を始める方針を固めた。

 金融庁は新たに重点検査をするのは、暴力団や準構成員などと密接な関係がある企業・組織やその関係者ならびに総会屋らに対する融資や接待、口座開設の有無について。反社勢力との取引を防止する体制についても調べ、問題が見つかれば、早期の是正を求める。
(文=編集部)

【続報】
 金融庁は5月24日、西武信用金庫に業務改善命令を出した。反社会的勢力との関係が疑われる人物への融資や、投資用不動産融資への審査体制に不備があったとして、6月28日までに業務改善計画を提出するよう求めた。

 9年間にわたりトップとして経営を率いてきた落合寛司理事長が5月24日付で引責辞任し、後任に高橋一朗常務理事が昇格した。反社会的勢力と疑われる人物の親族に対する融資が1件(1社)あったが、反社会的勢力に資金が流れた形跡は確認できなかったという。この融資は2~3年前から行われ、取引相手に関する情報を把握していたのに、支店長の判断で必要な確認をしなかった。

 信金の理事の職務を監視する監事が、複数回にわたり書面で調査を要請したにもかかわらず、落合理事長が拒否した。強い発言力を持つ落合氏への十分な牽制機能が発揮されなかった、と指摘された。「本来貸せない相手に貸して、利益を得るモラルハザードの典型例」と断罪された。

 西武信金は行政処分を受け、落合氏ら代理理事2人と常勤理事1人の辞任を発表した。国内金融機関に対する業務改善命令は18年10月のスルガ銀行以来となる。金融庁は責任の明確化に加え、融資審査を含むリスク管理体制の強化、反社会的勢力の排除に向けた体制の根本的な見直しを指示した。

 投資用不動産向け融資では、融資案件を持ち込んだ不動産販売業者によって預金通帳や売買契約書などの偽装・改竄が行われていたが、融資を優先した金庫職員が十分に原本の確認をせずに見逃した事例が少なくとも73件(融資額139億円)あった。「業務優先の営業を推進するあまり、内部管理体制の整備や組織的な検証を怠った」点を金融庁は重く見た。

 西武信金は5月24日、東京都内で記者会見を開き、高橋新理事長が「信頼回復に全力で当たる」と謝罪した。不動産融資の拡大を主導した落合氏は出席しなかった。

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