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LIXIL、日本の大企業で“初の事態”…瀬戸氏勝利は内紛「第3ラウンド」の開始にすぎない

文=編集部
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 瀬戸氏の株主提案は、会社側との共通の候補だった鬼丸かおる氏と鈴木輝夫氏の両者を含めた8人が選任された。会社提案は助言会社が反対を推奨した福原賢一氏と竹内洋氏以外の6人(共通候補の鈴木氏と鬼丸氏を除く)が選任された。

 会社側候補への支持が広がらなかったのは、潮田氏の影響力が残る指名委員会が選んだ会社側候補者が、機関投資家から信用されなかったからである。“潮田氏の息のかかった人物”とみなされた。

 一方で、潮田氏の側近である大坪一彦氏(LIXILグループ副社長)が選ばれたことから、潮田氏が巻き返しのカードを残しているという見方がある。潮田氏と瀬戸氏の抗争は、瀬戸氏の解任、瀬戸氏の帰り咲きに続いて、第3ラウンドの幕が上がる。

会社提案、株主提案を、それぞれ支持した大株主には説明責任がある

「主要株主である金融機関は会社側提案に賛成し、瀬戸氏側に反対した」(朝日新聞』(6月26日付)

 LIXILグループのメインバンクは三井住友銀行だ。サブは三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行である。どのような理由によって会社提案を支持したのかを、説明するべきとの声も多くあがっている。株主提案を支持した国内の機関投資家に対しても、同様に説明責任を求める声がある。

「株主提案の取締役の選任案がフルマークで株主総会で承認されたのは、この規模(LIXILグループの資本金は684億円)の会社では初めて」と、アナリストは指摘する。今回のLIXILグループの株主総会が、日本の企業統治の実態を変える分岐点になるのだろうか。

 社長兼CEOに返り咲いた瀬戸氏は「必ず勝てるチームにしたい。今日からワンリクシルだ」と決意を語った。事業会社LIXILの社長は、潮田派の大坪一彦取締役が続投する。取締役会議長には「“瀬戸排除”に固執していた」(関係者)といわれる松崎正年・コニカミノルタ取締役会議長が就任した。“潮田派”が社内に残って、「腐ったリンゴ」と化す懸念は残ったままだ。

【取締役に選任された人々】
・株主提案
瀬戸欣哉(LIXILグループ取締役)
伊奈啓一郎(同上)
川本隆一(同上)
吉田聡(LIXIL取締役)
西浦裕二(三井住友トラストクラブ元会長)
浜口大輔(企業年金連合会元運用執行理事)
・株主と会社側の双方が提案
鈴木輝夫(あずさ監査法人元副理事長)
鬼丸かおる(元最高裁判事)
・会社側提案
大坪一彦(LIXILグループ執行役副社長)
三浦善司(リコー元社長)
河原春郎(JVCケンウッド元会長)
内堀民雄(ミネベアミツミ元取締役)
松崎正年(コニカミノルタ取締役会議長)
カート・キャンベル(元米国務次官補)
・否決された会社側提案の候補
福原賢一(ベネッセホールディングス特別顧問)
竹内洋(元関東財務局長)

薄氷のCEO復帰

 CEOに復帰した瀬戸氏の支持(賛成比率)は、過半数をわずかに上回る53.71%だった。瀬戸氏ら株主側が提案したほかの取締役候補者の支持率も、軒並み5割強。薄氷を踏む思いの勝利だったことがわかる。ちなみに、賛成比率は次のとおり。

・浜口大輔氏:64.55%
・伊奈啓一郎氏:58.74%
・瀬戸欣哉氏:53.71%

 なお、株主側、会社側の共通の候補だった鬼丸かおる氏は94.45%、鈴木輝夫氏は94.43%と高い支持を集めた。会社側候補で選任されなかった福原賢一氏は44.92%、竹内洋氏は44.39%だった。
(文=編集部)

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