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梅原淳「たかが鉄道、されど鉄道」

JR北海道が経営危機に瀕した“誰も口にしない”原因

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キハ283系 スーパー北斗(「Wikipedia」より/Penpen)

 

 JR北海道は北海道のほぼ全域、そして青森県の一部で事業を行っている鉄道会社だ。ご存じのとおり、今、JR北海道は大変な苦境に立たされている。同社は15の路線で旅客輸送を展開しているなか、北海道新幹線を含めた全路線が赤字となっているうえ、鉄道事業全体でも巨額の損失を計上しているからだ。営業収支の詳細が記された国の統計「鉄道統計年報」によると、その額は2016(平成28)年度で534億円に上る。

 経営難に陥ったJR北海道に対し、奮起を促す意見は多い。増収策や合理化など経営努力が足りないという一般論から始まって、国鉄時代の悪習が抜けていないといった精神論もよく見られる。利用者が激減した末に同社の営業収支を悪化させてしまった路線やサービスを廃止すると、「攻めの姿勢が見られない」と言いがかりを付ける者が鉄道界界隈に何人か見られるのは、嘆かわしい限りだ。

 殊によるといま挙げた要素も存在するかもしれないが、筆者の考えではJR北海道の苦境を生み出した要素全体の0.14%にも満たない。JR北海道が経営危機に瀕している根本的な理由を誰も教えてくれないので、この場ではっきり言わせていただこう。日本という国家の力が衰退して、JR北海道を支えきれなくなったからだ。

経営安定基金運用のカラクリ

 国鉄の分割民営化が実施されてJR北海道が設立されたのは、1987(昭和62)年4月1日のことである。政府は国鉄の分割民営化に際してJR北海道が鉄道事業で利益を上げられるなどとは、最初から考えていなかった。そこで、JR北海道には6822億円分の経営安定基金が設定され、同社はこの基金の運用益を鉄道事業における営業損失の補てんに充当するという前提で、事業が続けられることとなったのである。

 さて、2016年度の経営安定基金の運用益は236億円であった。冒頭に記したとおり、JR北海道は鉄道事業で534億円の損失を計上したので、まったくもって補えない。なおも298億円の損失が残る。

 仮にJR北海道が6822億円を自力で運用し、その結果として利益が236億円しか出なかったのであれば、経営努力が足りなかったといわれても仕方がない。しかしながら、元本の6822億円に対して236億円という運用益は3.46%である。今日の日本でこれだけの運用実績は驚異的としかいいようがない。同社の運用担当者のもとには世界中の投資ファンドからヘッドハンティングの話が引きをも切らないであろう。

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