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小僧寿し、10年間ずっと経営危機でも“潰れない”理由

文=兜森衛
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小僧寿し松木店(「Wikipedia」より/多摩に暇人)

 いきなり懐かしい名前がランキングの1位にあるのを見て驚いた。まだ回転寿司のなかった時代に、庶民にも手の届く価格で寿司の持ち帰り専門店を全国展開した「小僧寿し」である。

 もう消えたものだと思っていただけに、まだあったことが最初の驚きだった。しかも、そのランキングが「倒産危険度」だったことを知り、二度驚いた。「週刊ダイヤモンド」(6月22日号/ダイヤモンド社)が掲載した「最新版 倒産危険度ランキング」である。あの小僧寿しが、その不名誉なランキングのトップになっていたのだ。

 寿司といえば、ハレの日に出前を取り、年に1回か2回しか食べられない特別なものだった。それだけに、持ち帰り専門の小僧寿しの登場は寿司好きの日本人の心をつかんだ。

 外食産業の雄として、1979年には年商531億円を計上。80年代に入ると、直営店、フランチャイズチェーン(FC)加盟店合わせて2000店舗を超え、91年にはチェーン全体の売上高も1000億円を突破した。握り寿司だけでなくバッテラや太巻きなどもあり、特に豊富な具材の手巻き寿司がファミリー層に大人気だった。事前に電話予約すれば指定の時間に店舗で受け取れるサービスも好評を博した。

 しかし、元禄寿司を筆頭に回転寿司チェーンが台頭し、スーパーマーケットや鮮魚店でも寿司が販売されるようになり、2000年代以降は赤字体質が定着。住宅街中心の出店戦略も裏目に出て、不採算店舗の閉鎖が続いた。その後、ラーメン店「麺や小僧」を出店するものの撤退。

 16年には、京都の老舗持ち帰り寿司ブランド「茶月」を運営する阪神茶月と、「カレーハウススパイシー」「イタリア料理サンマルコ」などを展開するスパイシークリエートを完全子会社として、「小僧寿し」「茶月」のリブランド化、宅配事業や介護関連事業などを新たな成長戦略と位置付けたが、まだ具体的な成果はあがっていない。

 18年12月末の時点で、小僧寿し、茶月で直営店116店、FC店135店を展開している。決算は10年12月期から9年連続で赤字となり、18年12月期決算で10億5700万円の債務超過に転落。監査法人からもGC(継続企業の前提)に関する注記が付けられ、東京証券取引所も今年3月27日に「上場廃止の猶予期間入り」を指定、年末までに債務超過が解消されなければ上場廃止が決定する。

10年以上続く経営不振

 小僧寿しはこのまま倒産してしまうのだろうか。毎年2月と8月に「危ない会社300社」を公表している東京経済東京支社情報部の森田幸典氏に話を聞いた。

「小僧寿しは7年くらい前に300社リストに載せています。ちょうど、イコールパートナーズの木村育生さんが社長の頃でした。小僧寿しの経営は、ヒト・モノ・カネでいえば、最初にモノが時代遅れになって、いろいろやっても失敗して、次はヒトの問題になって、どんどんヒトが変わって、最後のカネも銀行が手を引いてしまった。業績は08年くらいからずっと良くないですね。

 でも、今年2月の300社リストには載せませんでした。ずっと悪いままなので、載せても目新しさがないからです。表に出ない支払いの遅延などが見つかればうちは書きますが、赤字や債務超過に関してはリリースが出ているので、あらためて注意を喚起する必要もないからです。小僧寿しを最後にリストに載せたのは、大西好祐社長の横領事件があった6年前だと思います」(森田氏)

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