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日本、韓国への輸出優遇措置廃止…韓国経済に深刻な打撃、日本企業への影響は限定的

文=真壁昭夫/法政大学大学院教授
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 同社には有利子負債がない。自己資本比率は70%前後で推移してきた。これは同社の大きな強みだ。今後、同社には自己資本比率を維持しつつ、利益率を引き上げていくことが求められる。現状、同社はM&A(合併・買収)を過度に重視してはいない。それは、不確実性が高まる経済環境のなかで“高値掴み”を避け、財務内容の悪化を防ぐために重要な考えだ。

 利益率の引き上げに関しては、製品一つ当たりから生み出される利益を、より大きくすることが求められる。すでに東京エレクトロンは、装置の精度をさらに高め、顧客の要望とのマッチングをよりよく実現しようとしている。それに加え、原価の低減やAI(人工知能)の活用によるよりよいソリューションの提供が実現すれば、顧客サービスと利益率の両面でプラスの効果が期待できる。その上で、経営陣が規律ある姿勢で研究開発を強化し、より高機能のエッチング装置の開発などが目指されればよい。現状の同社の経営は、この内容に沿っている。

 特に、2020年3月期の研究開発費が前年度から積み増されて1200億円に達したことは重要だ。これは、経営リスクの上昇が想定されるなかでも、自社の強みをひたむきに高め、加速化する世界経済の変化と競争の激化に対応しようとする経営陣の強いコミットメントの表れだ。同社の経営陣はリスクの高まりを念頭に、守りと将来の市況反転をとらえる体制を整備しつつあると考えられる。同社がその考えをさらに高め、実践し、世界の半導体業界における日本の技術力向上に貢献していくことを期待したい。

(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)

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