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梅原淳「たかが鉄道、されど鉄道」

電車のオーバーラン、なぜなくならない?件数が多い路線、ほぼ発生しない路線

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「Getty Images」より

 本来ならば駅に停車しなければならないのに、列車がプラットホームの所定の位置に停止できなかった――。日ごろ鉄道を利用していれば、一度や二度は経験したことがあるかもしれない。

 いま挙げたトラブルを一般にオーバーランという。定義は特になく、鉄道会社を監督する国土交通省も統計をまとめていない。筆者の経験上、最もよく遭遇するのは数メートル程度のオーバーランだ。たいていの場合、列車はすぐに後退して所定の位置に停止する。多少の遅れは生じるものの、おおむね1分以内で済む。

 原因はいくつか挙げられる。最も多いのは、運転士がブレーキを作動させるタイミングが、なんらかの理由で遅れてしまったからである。ブレーキをかける位置を間違えたといった操作ミスをはじめ、眠気や考え事などをしていたなどといった不注意だ。

 車両が原因となるオーバーランも案外多い。雨や雪で車輪が滑ってしまったり、ブレーキの機構上の理由で急に効かなくなるといった理由が挙げられる。ブレーキの機構上の理由で急に効かなくなるとは、新幹線の車両から通勤電車まで、いまや多くの電車が備えている電力回生ブレーキの失効が主なものだ。電力回生ブレーキとは、電車のモーターを発電機として使用することで生じる抵抗力で車軸の回転を止め、発電された電力を架線や蓄電池に送電するブレーキを指す。

 一般に電力回生ブレーキ装置は、発電した電力の電圧よりも架線の電圧が著しく高い、つまり発電した電力をだれも使ってくれない状態に陥るとブレーキが作動しなくなってしまう。電力回生ブレーキが作動しないとなると、電車は自動的にバックアップとして摩擦力を用いた空気ブレーキ装置を作動させるのだが、わずかながらもタイムラグが生じてしまう。特に停止間際に電力回生ブレーキが失効してしまうと空気ブレーキ装置の作動が間に合わず、列車は所定の停止位置を通りすぎてしまうのだ。

 とはいえ、電力回生ブレーキが普及したいま、頻繁に失効していては困る。鉄道会社側でも対策を考えていて、他の列車が電力回生ブレーキによって発電された電力を消費できない場合、架線に電力を供給する変電所の近くに設置された抵抗器がこの電力を強制的に吸収して、電力回生ブレーキを確実に作動させる仕組みが導入された。

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