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ソフトバンク、“ウィーワーク”ショックで経営揺らぐ…主力のファンド事業が転落の危機

文=編集部
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 ウィーへの追加支援、経営権取得には、投資実績が上がらないことへの焦りが見て取れる。世界の人工知能(AI)関連の有力企業を束ねる「楽団の指揮者」になりたい孫氏が打ち出した投資戦略が「群戦略」。ファンド出資先への出資比率を20~30%に抑えるのが基本方針である。筆頭株主にはなるが、起業家が自分で意思決定できるように独立性を保つ。この手法が出資先の企業を成長させるとの判断からだ。

 ウィーへの金融支援をめぐっては、JPモルガン・チェースと競い合い、この基本方針をかなぐり捨てた。

<JPモルガンも50億ドルの資金支援パッケージを用意。JPモルガン案は既存株主の株式価値が希薄化せず、経営権の譲渡も求めていなかったことからウィーワークは同案の受け入れに傾いたとも報じられたが、ウィーワークを約50億ドルと評価するなど企業価値を巡る不一致があったため、ソフトバンクGの支援を受けることに決まった>(前出ブルームバーグ)

 今回の巨額支援でウィーに対するSBGの持ち株比率は約8割に達し、経営権も取得した。過半の議決権は握らず、連結子会社にはしない方針だが、出資比率を20~30%に抑えるという投資戦略に反するものであることは明らかだ。それほど、追い込まれていたということだろう。

 巨額の赤字を出し続けるウィー社を連結子会社にすると、SBG本体の損益に影響を及ぼす懸念があるからだとの指摘が専門家から出ている。これまでの投資分について減損処理を行う必要が出てくることは間違いない。ウィーの再建が遅れれば、孫会長の目利きに依存しているといわれるファンドの運営に支障をきたしかねない。

SBGの7~9月期決算は営業赤字の可能性大

 SBGは11月6日、19年7~9月期の決算を発表し、ウィー関連の損失を計上することになる。10月25日付ブルームバーグは<ソフトバンクグループは、傘下のビジョンファンドが大口の株式を保有するウィーワークやウーバー・テクノロジーズなどの価値急減を反映させるよう、少なくとも50億ドル(約5400億円)の評価切り下げを計画している>と報じた。

 17年以降、非上場株式の評価益をふいごのように使ったファンド事業の利益がSBG本体の営業利益を押し上げてきた。19年7~9月期はウィーの評価損でファンド事業は赤字に転落する見通し。「SBG本体も、きちんと決算をやれば赤字になる可能性がある」といった厳しい見方もある。投資会社に変身したSBGがピンチを迎えている。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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