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中国経済危機、半年で倒産件数504万社に…“本当の”経済成長率がとんでもないことに

文=宮崎正弘/評論家、ジャーナリスト
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中国の習近平国家主席(写真:ロイター/アフロ)

 米中貿易戦争に臨む米国は、「経済繁栄よりも国家安全保障を最優先させる」と不退転の決意である。その一端は、2回にわたるマイク・ペンス副大統領の演説で露呈している。

 貿易戦争を超えて、国防権限法、並びに付随した諸法律、さらには非常事態宣言により、中国経済、金融、そして軍事力の拡大阻止という「総合戦」に移行した。まず、枢要部品の輸出禁止は効果的だった。インテルがZTE(中興通訊)への半導体供給をやめた途端、同社は倒産しかけた。米国が中枢部品の供給をやめれば次に何が起きるかは、目に見えている。

 米商務省が発表したエンティティ・リスト(EL)には、以下の中国企業が掲載された。ハイクビジョン(杭州海康威視数字技術)は監視カメラ企業。ダーファテクノロジー(浙江大華技術)は同じく監視カメラで世界シェア2位。センスタイム(商湯科技)はAI、特に自動運転の画像と認識技術の企業。メグビー(曠視科技)は顔認識技術。そして、アイフライテック(科大訊飛)はAIと音声認識と自動翻訳の最大手である。これら中国のハイテク企業を封じ込めることは、米中関係が後戻りのできない冷戦に入ったことを意味する。

 また、中国の国内経済を見ても、不動産バブルが崩壊しかけていることがわかる。人の住まないマンション群、ゴーストタウン、ゴーストシティは、いずれ「ゴースト・チャイナ」になる。

本当のGDP成長率は1%台?

 習近平外交の目玉「シルクロード経済圏構想」(一帯一路)は、鄭和艦隊の二の舞になりそうだ。皇帝・習近平を悩ます難題は幾重にも複合してきた。日本から見て最悪の問題と思われる米中貿易戦争は習近平にとってそれほど深刻なことではなく、日夜頭が痛いのは国内の権力闘争、そして「香港問題」の決着である。だから、4中全会(第19期中央委員会第4回全体会議)を2019年10月末まで2年近く開催できなかったのだ。

 習近平は経済に明るくないため、実質的に最悪かつ解決不能の景気悪化、人民元激安、株価暴落、不動産市場の崩壊という、目の前にある危機への認識が低い。たとえば、銀行倒産が中国経済に死活的な凶器となることを習近平は重視していない。側近や中央銀行(中国人民銀行)は嘘の数字で過大な報告をしているに違いなく、また人民銀行が近く予定している「デジタル人民元」の発行で問題はクリアできると、側近ら(イエスマンと茶坊主たち)に吹き込まれている。

 真実の数字は驚くべきもので、「ジニ係数は0.62、GDP成長率は1.67%、負債総額は6500兆円前後ある」とエコノミストの向松祚が警告したが、習近平の耳には届いていない。

 米国企業の経理を監査する米国の監査法人が中国に進出し、企業税務を担当したが、あまりのずさんな報告に悲鳴を上げて、そのまま沈黙している。情報の透明性などまったくないため、米国は「中国企業のニューヨーク(NY)市場上場を拒絶するべきだ」と言うのだ。

 10月初旬に発表されたゴールドマンサックスの推計では、香港から「外貨預金」がどっと流れ出して、シンガポールの外貨預金口座に40億ドルが流れ込んだ。19年6~8月の速報だけの金額である。

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