ビジネスパーソン向け人気連載|ビジネスジャーナル/Business Journal

インターネットは1990年代半ばより急速に進展し、現在、数多くの人々の生活に欠かせないものとなっている。その主たる理由のひとつとして、無料でさまざまなサービスを享受できる点が挙げられる。検索、動画配信、SNSなど、大変便利なサービスがすべて無料で利用できる。もちろん、こうした無料サービスが広告などにより実現し、結果、企業が大きな利益を確保できているのであれば、なんら問題はない。企業・消費者ともにWin-Winの関係が成り立っている。
確かに、検索サービスを提供するグーグルは広告により莫大な収益を上げている。筆者の知り合いのグーグル・スタッフ(アメリカ人)は、「我々はもはや広告会社」とまで言い切っていた。しかし、こうしたケースはネットに存在する無数のビジネスを母数に考えれば、極めてまれであると捉えるべき代表だろう。

よって、多くの企業が無料会員の有料会員化に日々、邁進している。アマゾンプライムなどは、その代表的な事例である。書籍を中心にオンライン通販を展開するアマゾンにおいて、無料会員になると、書籍などは送料無料で購入できる。扱われている商品点数は膨大な数におよび、多くの人が利用している。また、キンドルという独自の端末を開発・販売し、電子書籍ビジネスにも着手している。こうしたアマゾンが展開する有料会員サービスがアマゾンプライムである。
まず、料金は年間プランが4900円、月間プランだと500円である。会員特典に関して、対象商品のお急ぎ便・お届け日時指定便が無料、対象となる映画やテレビ番組が見放題、200万曲の楽曲やアルバム、プレイリストを無料で聞き放題などがある。こうしたサービスに対して、費用対効果が高いと判断している人は多いようであり、世界で会員数が1億人を突破している。
また、動画共有サービスのYouTubeにおいても、「ここから先は有料会員のみ」といったケースが増えてきている。どこまでを無料とするのか。なかなかに難しい匙加減が必要になることだろう。
英文校正サイトGrammarlyのケース
無料といえども、現代の消費者は「無料だから」という理由だけで、簡単に会員登録してくれるほど、優しくはない。また、ネットには無数の無料サービスが溢れている。こうした状況を勘案すれば、まず無料会員を獲得することすら、並大抵のことではないといえる。消費者の興味をそそる、もしくは有益なコンテンツを含むことなく、実現することは難しい。さらに、こうした無料会員の有料会員化へのハードルは極めて高く、まさに至難の業である。
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