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黒田尚子「『足るを知る』のマネー学」

高齢者が陥りがちな間違った「キャッシュレス対策」!“選択肢を絞る”が重要

文=黒田尚子/ファイナンシャルプランナー
高齢者が陥りがちな間違った「キャッシュレス対策」!“選択肢を絞る”が重要の画像1
「Getty Images」より

 10月1日から、消費税10%がスタートした。今回の増税対策として、軽減税率キャッシュレス決済のポイント還元、教育無償化、年金世帯向け給付金、プレミアム付き商品券など、手厚い負担軽減策が講じられているが、「しくみが複雑」「わかりにくい」といった声も多いように感じる。

 とくに、キャッシュレス決済のポイント還元については、国がキャッシュレス普及を強く推進していることもあって、さまざまなキャッシュレス決済サービスが次々と立ち上がっている。その一方で、高齢者を中心に、「何をどうすればオトクなのか、まったくお手上げ状態」と途方に暮れている方も少なくない。

 そこで、今回のコラムでは、消費増税の家計への影響を不安視する高齢期の親世代に対して、子ども世代がどうアドバイスすべきかまとめてみた。

高齢者はキャッシュレスに無関心なわけではない

 筆者は、消費増税に向けてセミナー等で対策をお話する機会があり、参加者の中に70~80代の方も多数お見かけする。その際に「キャッシュレス、ご利用されていますか?」と質問すると、首をフルフルと横に振る高齢者が大多数を占める。その理由として「しくみや手続き方法がよくわからない」「使い過ぎが怖い」などの声があがる。なかには、胸を張って、「私は以前からキャッシュレスです。現金はほとんど使っておりません」という“意識高い系”の高齢者(おもに男性)もおられるが、おそらく少数派だろう。

 しかし、高齢者が、キャッシュレスについてまったく興味や関心がないかといえば、そうではない。あるシニア向け雑誌を発行する出版社が企画した、シニア限定のキャッシュレス講座には、女性を中心に60~70代の応募が殺到したという。

 全国の20~69歳を対象にした「消費税増税」に関する調査(※株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント「「消費税増税」に関する調査」(2019.9))によると、「消費増税後、変わるかもしれないと思う生活行動」について、「ポイント還元のある店でのキャッシュレス決済を増やす」と回答した人が全体で27.5%だった。とくに女性は、40代(30%)、50代(36%)、60代(37%)と年代があがるにつれて、その傾向が強く表れている。もともと女性はクレジットカードやポイントカードに馴染みがあるだけに、ポイントがつくなら抵抗感なく受け入れられるのかもしれない。

 それに現役世代よりも資産残高が高く、経済的余裕がありそうであっても、高齢者は新しい収入源が見込まれにくい。今の生活を維持あるいは家計を守るために、何か確実におトクになるのであれば、やってみたいと考える方が少なくないということだ。

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

黒田尚子/ファイナンシャル・プランナー

 1969年富山県富山市生まれ。立命館大学法学部卒業後、1992年、株式会社日本総合研究所に入社。在職中に、FP資格を取得し、1997年同社退社。翌年、独立系FPとして転身を図る。2009年末に乳がん告知を受け、自らの体験から、がんなど病気に対する経済的備えの重要性を訴える活動を行うほか、老後・介護・消費者問題にも注力。聖路加国際病院のがん経験者向けプロジェクト「おさいふリング」のファシリテーター、NPO法人キャンサーネットジャパン・アドバイザリーボード(外部評価委員会)メンバー、NPO法人がんと暮らしを考える会理事なども務める。著書に「がんとお金の本」、「がんとわたしノート」(Bkc)、「がんとお金の真実(リアル)」(セールス手帖社)、「50代からのお金のはなし」(プレジデント社)、「入院・介護「はじめて」ガイド」(主婦の友社)(共同監修)など。近著は「親の介護とお金が心配です」(主婦の友社)(監修)(6月21日発売)
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