日産、ボロボロの内情…新モデル不在、販売奨励金積み増しでも売れず、米国事業一時休業の画像1
東京オートサロン2020(写真:つのだよしお/アフロ)

 2019年12月25日、日産自動車の関潤副最高執行責任者(COO)が辞任すると発表された。関氏は日本電産の社長に就任する。関氏の退社が日産の今後に与える影響は軽視できない。関氏は、日産の事業改革計画の策定を担い、実質的な改革の推進役と目されてきた。

 これからの事業改革の進捗動向は、日産の将来を左右するだろう。まず、世界の自動車業界は電動化をはじめとする大きな変革期を迎えている。加えて、日産の業績はかなり厳しい。さらに12月1日に日産は、内田最高経営責任者(CEO)、グプタCOO、関副COOによる“3頭体制”をスタートさせたばかりであり、組織全体への衝撃もはかり知れない。

 今後、ルノーとその筆頭株主であるフランス政府は、日産に対してより強い影響力を手に入れようとすることも考えられる。日産の経営陣は、ルノーとの良好な関係を維持すると同時に、自社の改革をやり遂げ、新しいモデルの開発などを進め収益の柱を育成しなければならない。

重大な変革期を迎える自動車業界

 日産をはじめとする世界の自動車産業のすそ野は広い。1台の完成車には3~5万点もの部品やパーツが用いられ、研究・開発、設備投資など自動車業界の動向は多くの産業に影響する。それを組み立てるために多くの労働力も必要となり、雇用への影響も大きい。

 主要国の政府にとって強い自動車産業を育成できるか否かは、自国経済の安定だけでなく、政治的な支持基盤の強化にも欠かせない。ゴーン元代表取締役会長の不正行為発覚以降、日産・ルノーのアライアンス体制の運営に日仏両政府の意向が絡んできたのは、自動車産業の経済に与える影響が大きいためである。特に、産業政策の専門家を自認する仏マクロン大統領の本音は、ルノーと日産の経営統合への道筋をつけたいはずだ。

 さらに、ルノー、日産をはじめとする世界の自動車企業は、100年に1度といわれるほどの急速かつ大きな変化の局面を迎えている。具体的には、世界最大の自動車市場である中国を筆頭に、レシプロ型のエンジンを搭載した自動車から電気自動車(EV)へのシフトが進んでいる。これに伴い、自動車の部品数は約半分までに減ると見られている。

 EV化だけでなく、自動運転技術、コネクテッドカーの開発など、自動車の社会的機能が大きく変わろうとしている。IT先端企業や大手電機企業などもEVやコネクテッドカーの開発に参入し、世界全体で自動車産業は急速かつ大きく変化している。それに対応するために、多くの自動車企業が提携や経営統合に踏み切っている。

 すでにルノーと日産は車体(プラットフォーム)の共通化などによって生産原価の低減などに取り組んできた。両社が世界的な自動車業界の変革に対応するためには、よりアライアンス体制を強化しEVや自動運転技術面での開発体制を強化し、それを収益につなげていくことが求められる。世界全体で自動車業界の競争が激化しているだけに、日産が新しい自動車開発のアクセルを緩めることはできない。

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