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垣田達哉「もうダマされない」

新型コロナウイルス、パン屋やスーパーの食品“裸売り”で感染の危険…食前に加熱必須

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
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「Getty Images」より

 新型コロナウイルスの影響で、マスクが爆発的に売れ、小売店では品切れ状態が続いている。皆、どうしてそんなにマスクが欲しいのかというと、飛沫感染を恐れているからだ。感染している人の咳やくしゃみ、唾などを介して飛び散ったウイルスが、口や鼻を通して体の中に侵入するのを防ぎたいという思いが強い。

 しかし、マスクをしていても飛沫感染を防ぐことができない場所が、もっと身近にある。それは、スーパーマーケットやベーカリー、デパ地下惣菜等のバラ売り(裸売り)だ。スーパーでは、揚げ物や焼き物、天ぷらなど、調理済みの加工食品がバラで売られている。ベーカリーでは、数多くの焼きたてパンがバラで売られている。

 こうした小売店では、不特定多数の客が数多く来店する。すべての人がマスクをしているわけではない。店内で咳き込む人、くしゃみをする人もいるだろう。そうした時に、陳列されている食品が飛沫感染する可能性もある。

 飛沫感染する可能性がある食品は、加工食品だけではない。野菜や魚などもバラで売られているものが多い。しかし、野菜は食べる前に洗うだろうし、バラで売られている魚のほとんどは加熱するか、洗う、ウロコを取る、さばく等の処理をするだろう。

 コロナウイルスに汚染された食品でも、各種病原菌と同じで、十分に、具体的には中心部を75℃で1分間以上加熱すれば安全だといわれているが、バラで売られている惣菜やパン類等は、購入後そのまま食べることが多い。惣菜は、電子レンジなどで加熱することもあるが、パン類は加熱しないこともあるだろう。

 総菜やベーカリー等のバラ売り食品は、衛生面が完備された場所で製造されているだろう。しかし、店頭に出されているときは、訪れる客の全員がマスクをしているわけではない。アルコール消毒をしていない子どもが、バラ売りの食品を触ることもある。

 2月5日、横浜港沖に停泊中の豪華クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客と乗組員のうち10人から新型コロナウイルスの感染が確認された。感染の原因はハッキリしていないが、感染者からの直接感染だけでなく、ビュッフェ方式の食材から感染した可能性もある。

容器包装された食品のほうが安全

 惣菜等で、蓋があるトレイに置かれたものもある。購入する時に、ふたを開けてトング等で取る方法であれば、何も覆われていないバラ売り商品よりは、衛生面を考えれば安心だ。

 そもそも、コロナウイルスに限らず、衛生面ではバラ売り食品より容器包装された食品のほうが安心だ。2017年のポテトサラダが原因と思われるO-157食中毒の時も、傷みやすいポテトサラダをバラ売り(量り売り)していた。今では、ポテトサラダをバラ売りしている店は少ないだろう。

 ポテトサラダも購入後に加熱して食べるものではないが、調理済み食品で購入後そのまま食べるものは、できるだけ容器包装したほうがバラ売りよりは安全面では優っている。日本は、世界のなかでも食品衛生の面ではかなりレベルが高いことは間違いない。しかし、食の安全という面ではまだまだ課題は多い。

 今回は食中毒事件ではないが、食を通じて拡大する可能性もある。こうしたことをキッカケに、少しでも安全な方法を模索するべきだろう。

(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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