NEW
連載
高安雄一「隣国韓国と日本の見方」

韓国、資金流出による通貨暴落危機を回避の見通し…米国と通貨スワップ取極締結

文=高安雄一/大東文化大学教授
【この記事のキーワード】

, ,

新型ウイルス肺炎が世界に拡大 韓国で非常経済会議を開催(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 韓国時間の3月19日夜10時、韓国銀行とアメリカの連邦準備理事会(FRB)は600億ドル規模の通貨スワップ取極を締結したことを公表した。取極の期間は最低6カ月間(2020年9月19日まで)である。FRBは以前より、イギリス、欧州、日本、スイス、カナダの中央銀行と通貨スワップ取極を締結しているが、今回、メキシコ、ニュージーランドなど韓国も含めて9カ国とも新たに締結した。

 韓国の通貨であるウォンは対ドルでこのところ下落が続いていた。2019年上半期は1ドル1100~1150ウォンで推移していたレートは、7月以降、米中貿易摩擦や日本の対韓国輸出管理適正化策など貿易環境に不確実性が増したことに加え、景気も息切れが見え始めたこともあり、一時期1200ウォンを超えるウォン安となった。しかし9月には貿易環境の懸念がひとまず後退したことから持ち直し、2020年1月中旬には1ドル1150ウォンまで戻った。

 ウォンの安定が崩れたのは1月下旬になってからである。新型コロナウィルス感染拡大の影響がじわじわと出始めて、2月24日以降は1ドル1200ウォンを超えるウォン安となり、ウォン安に歯止めがかからない状況となっている。韓国は1990年代に入ってから資本移動の自由化を進め、1997年のアジア通貨危機以降、自由化が一気に進んだ。その結果、欧米をはじめとする投資家が積極的であれば、韓国の株式市場や債券市場などに資金が流入してウォンが高まり、消極的になれば資金が流出しウォン安に振れる傾向が強まった。

 具体的には、2008年9月のリーマンショック後の急激なウォン安があるが、そこまで深刻でないが、2011年には欧州政府債務危機、2016年には中国の金融不安などを背景に投資心理が消極的となりウォンが下落した。そして今回の新型コロナウィルス感染拡大は投資心理を大きく冷やしており、韓国から外国人の投資が流出しウォンが下がり続けている。こうなってくると韓国にとって重要なのは通貨の安定となるが、急激に韓国から資本逃避が起こった場合に備えてウォンを買い支えることが必要となってくる。

 その際に必要なものはドルである。韓国は2月末現在で4092億ドルの外貨準備を有しており、中国や日本には大きく及ばないものの、その金額は世界9位である。韓国は1997年のアジア通貨危機時に外貨準備が底を尽き、ウォンが急落することになったが、当時とは状況がまったく異なり、これだけの外貨準備があればウォン防衛はたやすいようにみえる。