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垣田達哉「もうダマされない」

日本中で東京都民“差別”が始まった…コロナ無症状者への検査増で感染者を隔離すべき

文=垣田達哉/消費者問題研究所代表
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「Getty Images」より

 16日、東京都内の新型コロナウイルス新規感染者が過去最多の286人になった。小池知事は記者会見で「1日3000件を超える検査が実施されているが、6000件は対応できる」と、検査数が多いから感染者が増えたというが、それならもっと早くから検査を増やすべきだった。

 7月に入ってから、東京都の感染者数が100名以上になると、あたかも東京都民が感染源かのごとく「東京由来」と発言する知事も出てきた。地方自治体の首長のボルテージが最高潮に達したのが、ゴールデンウィーク前だった。「首都圏から来るな」の大合唱で、まるで

「自分の道府県民は感染していないのに、東京からやってくる人がコロナウイルスを運んでくる」と言わんばかりであった。

 ところが、この夏休み前は「Go To キャンペーン」の賛否はあるが、ほとんどの知事が「東京から来るな」とは言わない。もちろん「『自分の道府県さえ良ければいい。諸悪の根源は首都圏に住んでいる住民だ』というのは言い過ぎだった」という思いもあるのだろう。

 それより大きな要因は、「今度は首都圏から来てもらわないと地方が困る」からだ。国は「Go To キャンペーン」で地方への観光を莫大な税金を使って推進している。国が「首都圏の人は地方に行って金を落としてくれ」と大キャンペーンをしているのに、国の意向に逆らって「わが道府県に来るな」とは言えない。各地方自治体の観光産業が大打撃を受けている現状では、ドル箱の首都圏の人たちに「是が非でも来てほしい」のだ。

 しかし東京都の新規感染者数が連日200人を超える事態となり、ついに政府は「Go Toキャンペーン」の運用を見直し、東京を対象外とした。

 一部のマスコミでは、感染者0名の岩手県で「家族が東京にいる息子に、夏は帰ってくるな」と訴える様子が報道された。4月に自粛警察を増長させたマスコミが、また同じことをやっている。この報道を見た岩手県出身で首都圏に住んでいる人は、この夏、誰も帰省しないだろう。もちろん、観光のために訪れようとする人もほとんどいないだろう。

 一方、岩手県以外では、表面上は大歓迎なので、観光客や帰省客は例年近くの人出が予想された。しかし、国はGo To キャンペーンから東京都を除外し、小池知事は都民に対し不要不急の外出は避けろと訴えているので、当初の予想より観光客は少ないだろう。国も、キャンペーンから除外され不要不急の外出も自粛するように訴えている東京都も、緊急事態宣言を出す気配はない。つまり、東京都民の移動の自粛を強く求めているわけではないのだ。Go To キャンペーンの対象外だが、旅行はするな、帰省するなとは声高に言っていない。

観光産業のGDPは数%だからたいしたことはない」という人もいるが、観光産業のすそ野は非常に広く、廃業や倒産が多くなれば、ホテル・旅館、交通、運輸、土産、娯楽産業はもちろん、農水畜産業から製造(ハードもソフトも)、各種小売など、多方面に大きな影響を与える。

 しかし、一方では「経済より命優先」という人も多く、これだけ東京都や隣県の感染者が増えれば、誰でも夏の民族大移動に不安を感じている。地方も、本音は「来てほしくない」のだろう。そうした不安を少しでも解消するためには検査しかない。

 「23区の住民全員に検査を受けさせるべき」とか「23区をロックダウンしろ」という声もあるが、それは非現実的だ。しかし、やっと東京都も「検査の必要性がわかってきた」のだから、もっと検査を増やせばいい。

国会議員にPCR検査すべき

 真っ先にPCR検査をすべきは「国会議員とパートナーおよび秘書」である。多くの国会議員は都民ではないが、1年の半分以上を東京都で暮らしている。この秋には解散総選挙が噂されている。この夏、国会議員は選挙区に戻り、秘書らとともに大規模な選挙活動をするだろう。

 選挙活動をテレワークでやれるのは、当選間違いないとされる一部の議員だけだ。選挙は、どうしても対面して、握手をして、言葉をかけなければ票にはならない。事務所から電話さえすれば当選できる議員はほとんどいない。

 この夏、一般市民と一番濃厚接触する可能性が高いのは国会議員とその関係者だ。全国の都道府県知事は、その人たちすべて検査を要請したらどうだろう。国会議員秘書が感染したこともあるので、すでに国会議員や秘書は検査を終えているのかもしれないが、1回の検査で陰性だったとしても、今、感染していないとは限らない。岩手県や青森県のように、累計1000名程度の検査しかしていないところもある。地方は検査体制に余裕があるはずだ。

 プロ野球やサッカーの選手も全員検査を受けている。おそらく議員、公設秘書、地元の秘書、議員の家族や選挙対策の関係者も積極的に応じてくれるだろう。検査に応じない議員は、公表すればよい。もちろん、検査することが免罪符になるわけではない。少なくとも毎週1回検査をしていれば、地元民も歓迎してくれるだろう。

 国会議員の次に検査すべきは、官庁や地方自治体職員、そして大手企業の社員だ。こうした人たちは行政のトップや社長が号令さえかければ、誰でも検査に応じるだろう。地方に出向く予定がある人は家族で検査するのもいい。

 国は、1日3万件以上の検査が可能だと言っている。小池知事も検査の必要性がわかり、1日3000件以上実施しているという。特に無症状の感染者が多くなってきている現状では、検査を増やして無症状の感染者を洗い出し隔離しなければならない。

 1回の検査では「感染していない。今後も感染しない」ということではないが、やらないよりやったほうがいいに決まっている。何より検査数の増加で、現状把握ができる。緊急事態宣言もせず、行動自粛も要請しないのであれば、せめて検査数を増やすことで、少しでも国民を安心させるべきである。

(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

垣田達哉/消費者問題研究所代表、食品問題評論家

1953年岐阜市生まれ。77年慶應義塾大学商学部卒業。食品問題のプロフェッショナル。放射能汚染、中国食品、O157、鳥インフルエンザ問題などの食の安全や、食育、食品表示問題の第一人者として、テレビ、新聞、雑誌、講演などで活躍する。『ビートたけしのTVタックル』『世界一受けたい授業』『クローズアップ現代』など、テレビでもおなじみの食の安全の探求者。新刊『面白いほどよくわかる「食品表示」』(商業界)、『選ぶならこっち!』(WAVE出版)、『買ってはいけない4~7』(金曜日)など著書多数。

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