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中国、米国総領事館閉鎖に中国全土から見物客が“祝福”に押し寄せ…政府による動員か

文=編集部
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在中アメリカ大使館Twitter公式アカウントより

 米中対立の激化に伴い、中国・四川省成都市の米国総領事館が中国政府から閉鎖を求められていた問題で27日、同領事館スタッフが退去した。周辺は中国の警官隊が阻止線を張り、立ち入り禁止状態になっていたが、その外では中国全土から「歴史的な瞬間」をみようと見物客が押し寄せていた。香港紙South China morning Postが同日、記事『US flag lowered for last time at Chengdu consulate as China retaliates for Houston closure』で報じた。

屋台のアイスキャンデーの売上は2倍、「歴史的瞬間を見たい」

 記事によると、中国外交当局は同日午前10時、WeChat上で同領事館の閉鎖を発表したという。同領事館の周辺の商業ビル前の路上には、閉鎖を祝う多くの群衆が集まったという。群衆らは「歴史的な瞬間を目撃したい」などと話していて、金曜日に領事館の閉鎖が発表された直後も、スマートフォンで自撮りをしたりする姿が見かけられたという。同記事では次のように一連の模様を伝えている。

「領事館の反対側にあったアイス屋台の売上は2倍になった。同店主は『今まで300個販売した。西安や海南から飛行機で来ている人もいる』と話す。河北省北部から来たXu Junqingさん(60)は成都市在住の息子宅をおとずれ、この土日はずっと領事館前に来ていたという。

『多くの人は好奇心で集まってきたのだと思う。しかし、米中間の協力関係が破綻したら、全世界に利益はないため、再開すると思っています』」

政府の動員か、暇だったからか?

 米中間の外交、経済上の報復合戦は日に日にエスカレートしている。一方にはドナルド・トランプ大統領の再選をめぐる思惑があり、他方には新型コロナウイルス感染症対策や香港問題、長江の水害拡大に伴う民衆の怒りの矛先をそらしたい中国共産党政府の計算があるといわれている。総領事館の閉鎖は確かに外交的な一大事でもあり、歴史的な瞬間でもあるのだが、見物客が押し寄せればコロナ感染症に罹患する危険も増す。なぜ中国の人々は物見遊山で成都に来たのだろう。成都市に駐在したことのある日本の大手商社関係者は話す。

「政府のなんらかの動員がかかった可能性と、とにかく暇だった可能性の2つが考えられます。前者は裏の取りようがありませんが、あの国では人を集めるのはさほど難しいことではありません。一方で、現在の中国本土に住む人々には鬱屈としたストレスが慢性的にかかっているようです。もともと成都は一年を通じて曇りの日が多く、住民が鬱屈としがちな街です。中国本土の知人によると、新型コロナウイルス感染症拡大の自粛ムードは、日本よりはるかに強く『何かあれば発散したい』という話をよく聞きます。

 中国本土のテレビ番組やインターネットコンテンツは、政府の厳しい検閲や制作会社が中国共産党に忖度を続けるせいで、中国人でも『最近、あまり面白くない』という人は多いです。直接、自分に被害が及ばない範囲で『何かすごいことが起こってほしい』という願望があるのかもしれません。少しずつですが中国国内でも欧米諸国に対する反感が高揚しているのは間違いありません。注目する必要があると思います」

 米中関係の悪化のスピードが加速度的に増している。落としどころがあるのか、それとも悲劇的な結末に向かっているのか、ゴールはいまだにに見えない。

(文=編集部)

 

BusinessJournal編集部

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