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厚労省官僚たちが過労死寸前…午前4時に幹部から指示、政治家からの理不尽な要求で混乱

文=編集部
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厚生労働省(新華社/アフロ)

 厚生労働省職員の朝は早い――。新型コロナウイルス感染症拡大に伴う対策業務の激増で最近、本省からの業務メールが午前7時前に着信することがままあるという。つまり、そのメールを発信するために、すでに省内では誰かが勤務を開始しているのだ。同省の20代若手職員はぼやく。

「新型コロナ関連の仕事が最も過酷だった4月ごろ、午前1時に幹部から『とりあえず、明日、●●を確認して進めてください』と連絡があり、その3時間後の午前4時に『昨日メールした●●の件、確認しましたか?国会審議があるので早急に進めてください』などというメールが来たことがありました。そんな状況が続き、もう『明日』と『昨日』がわからなくなって久しいです。ソーシャルディスタンスを守るために、交際相手とも3カ月会っていません。もう、別れるしかないかもしれません。副大臣と政務官は仲が良くていいですね」

 折しも、新型コロナ対策の現場を指揮する橋本岳厚生労働副大臣(岡山県第4選挙区、衆議院議員)と自見英子政務官(比例区、参議院議員)の不倫疑惑が浮上し、過酷な労働環境にある職員の士気低下に追い打ちをかけている。文春オンライン(文藝春秋社)が29日に報じた記事『コロナ拡大の中、2週間で5回不倫デート 厚労省の橋本岳副大臣と自見英子政務官が交際』では、ソーシャルディスタンスをものともしない2人の親密な関係が描写されていた。

昨年末の調査時点で若手男性官僚の7人に1人が辞職意向

 共同通信が24日に記事『若手官僚、7人に1人が辞職意向 30歳未満男性、数年内に』で報じたとおり、30歳未満の若手男性官僚の7人に1人が辞職意向であることが明らかになっている。内閣人事局が昨年11~12月に実施した意識調査によるもので、4万5000人が回答し、30歳未満の男性の14.7%がすでに辞職を準備中か3年以内に辞めたいと回答したという。

 その多くが長時間労働や仕事への不満などが理由だった。そして、これはあくまで昨年末時点での調査だ。厚労省医療系技官OBは次のように語る。

「厚労省の労働環境は確実に悪化しています。新型コロナに関しては、厚労省の医系技官が官邸の意向に抵抗するから、業務が遅れているという批判もありましたが、基本的な感染症の知識が官邸にあったのか疑問です。橋本副大臣をはじめ、官邸筋からは非常に大まかなイメージしか伝えられないそうです。それを現場が法令に則って制度設計すれば、『既存の規制や価値観に縛られるな』『とにかく急げ、すぐに形にしろ』とくる。省庁に立法権限はありません。

 状況が状況だけに、新しいチャレンジはするべきだと思いますが、それならば思い付きのアイデアではなく、詳細な概要や企画を固めてから現場に投げてほしいと心から思います。長時間労働、人事権を押さえた官邸からの理不尽な指揮、続くトップの醜聞、これでは真面目な若い人はいなくなりますよ」

橋本副大臣はダイヤモンド・プリンセス号の対策責任者 

 橋本副大臣といえば、新型コロナウイルスの感染者が大量発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で現地対策班部長として現場に混乱をもたらした張本人として知られる。特に物議を醸したのがSNSの投稿だ。

 橋本副大臣は2月19日、自身のTwitterアカウントで、船内の感染対策の不備を告発した神戸大学医学研究科感染症内科教授の岩田健太郎氏に対し「検疫中の船舶に医師が侵入した」と批難した。岩田氏が「船内では『レッドゾーン(感染危険地帯)』『グリーンゾーン(安全地帯)』のゾーニングができていない」と告発したことに反発したかたちだ。

 だが、一方でTwitterの投稿などで「ただ実際に職員の感染が判明してしまった状況の中で、完全なコントロールができていると申し上げることはできません」と一部に不備があったことも認めた。ところが翌20日、橋本副大臣は再び自身のTwitterアカウントに、「不潔ルート」と張り紙がされた船内の模様を示す写真を添付。一見、レッドゾーンとグリーンゾーンに区別されているかのような写真だったがなぜか急遽、削除し、インターネット上で物議を醸した。

 別の厚労省関係者は次のよう話す。

「あの時の本省の陣容は現地対策本部長が橋本副大臣、現地対策本部長代理に自見政務官、 現地対策本部員に環境省から急遽呼び戻した正林督章大臣官房審議官、大坪寛子大臣官房審議官ら17人です。実質的な指揮は当時、環境省所属だった正林審議官が現場を取り仕切りっていました。少なくとも例のSNSの件は現地対策本部の職員と綿密な調整をせず、政務官と示し合わせた上で投稿したようです。結果として、一般の方々からの批判も、首相官邸からの批判もすべて現場の責任になりました。

 我々の説明や対策が不十分だったことも多々あるとは思いますが、正直、やりきれないと思う職員は多いと思いますよ。

 正林さんはもともと厚労省で新型インフルエンザや結核などの感染症対策を長年やってきた専門家です。昨年7月の幹部人事で環境省に出向し、審議官として国立水俣病総合研究センター所長になっていました。当人は非常にまじめな方で、省内の出世レースと一線を画し『早く厚労省を引退したい。出向したこともある島根の無医村で診療所を開きたい』などと周囲に漏らしていたのですが、よりによって最も過酷な現場に放り込まれました。頑強な方なので大丈夫だとは思いますが、激務がお体に響いていなければいいのですが」

 橋本副大臣といえば、橋本龍太郎元首相の次男で以前、加計学園高校に招かれて講演した人物だ。加計学園グループとも関わりが深い自民党岡山県連合会会長でもある。今後、どのように身をただしてコロナ対策の指揮を執っていくのか、注目される。

(文=編集部)

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