
ショッピングセンターは新型コロナウイルス感染拡大により大打撃を受けている。消費者の意識や行動が変容するなかで、リアル空間として今後どのような役割を果たしていくか問われている。そのうえ、郊外には施設が乱立し、集客をめぐる競争はますます激しくなり、淘汰されるところも目立ち始めた。
国内のショッピングセンター数は2019年末時点で3209に上り(日本ショッピングセンター協会調べ)、飽和状態といわれており、ここ5年間だけでも289カ所増えた。施設間の競争はより厳しさを増しており、地方都市の中心部では百貨店の撤退が相次ぎ8月「そごう徳島店」「中合福島店」も閉店した。
そうした状況のなかで、大都市の都心立地で成長を担保しようとする狙いで、新たなブランドを立ち上げる動きが活発化している。東京・渋谷区と三井不動産が進めてきた整備事業で、宮下公園が公園と商業施設、ホテルが一体となった立体都市公園として生まれ変わった。7月28日開業した「RAYARD MIYASHITA PARK(レイヤードミヤシタパーク」は、渋谷駅周辺エリアをつなぐ全長約330mの低層複合施設だ。
三井不動産の公園一体型の商業施設「レイヤード」ブランドの1号店。年齢や性別問わず誰もが訪れ、楽しむことができるパブリックスペースである公園と、商業施設を一体化して運営を行うことで、新しい価値と体験を訪れる人に提供する。
施設面積は約2万3864平方メートル。物販・サービス44店舗、飲食・食物販28店舗、合計72店舗で構成され、街の賑わいだけでなく公園の緑を感じられる開放的な歩行空間、施設全体を覆う緑の天蓋も設けた。
特徴的なのが全長100メートル、約1000 平方メートルのフロアに飲食店19店が集積する「渋谷横丁」。東京・恵比寿のシャッター商店街を再生させた「恵比寿横丁」などを手がけた浜倉的商店製作所の浜倉好宣代表がプロデュースし、24時間営業で、路面店が軒を並べる路地の雰囲気を醸し出しながら、賑わい性を演出している。
北は北海道から南は九州・沖縄まで地域のソウルフードなどを提供する地方特化飲食店をはじめ、全国のご当地ママが営むカラオケスナック、元力士がつくる力士めしが楽しめる店も誘致した、独特なリーシング。
コロナ禍にもかかわらず、早くも渋谷の新たな人気スポットとなり、若者を中心に多くの人が訪れており、屋上の公園スペースも連日くつろぎの場として利用されて多くの人が訪れている。