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木村誠「20年代、大学新時代」

早稲田大学“医学部”誕生が現実味を帯びてきた…東京女子医大は経営難で学費1200万円値上げ

文=木村誠/教育ジャーナリスト
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早稲田大学の大隈講堂(「Wikipedia」より)

 北海道旭川市の旭川医科大学の吉田晃敏学長が、新型コロナウイルスの感染者を受け入れるよう訴えた同大付属病院の古川博之病院長を1月25日付で突然解任して、文部科学省も巻き込む騒ぎになっている。

 学長は病院長の主張を拒否し、新型コロナ患者を受け入れるなら辞めろ、と迫ったと伝えられている。記者会見を開いた学長は、学長の下に病院長がいる、として、患者受け入れに関わる学長との協議内容を外部に漏らしたことを、解任の理由に挙げた。

 この学長のキャラがネタとしてはおもしろく、マスコミに話題を提供しているが、ある意味で現在の大学問題を浮かび上がらせている。大学の代表者である学長の経営的視点と、病院長という地域医療を担う医師としての責任感の対立である。旭川医大は国立の医療単科大学だけに、問題は比較的単純な構図であるが、これが総合大学の医学部付属病院だったらどうなるであろうか。特に私立大学だと、問題は複雑になってくる。

 それでなくても、医学部と付属病院が置かれた環境は厳しい。新型コロナの影響で病院経営が圧迫されているだけでなく、日本医科大学付属病院で発覚した無給医(大学院生など)の問題や、東京女子医科大学病院の麻酔科医の業務上過失致死問題などは病院の体質に起因するものであり、他の医学部病院も他人事ではない。

医学部入試は激変の時代へ

 医学部は、新型コロナ禍による受験生の動向という直近の傾向だけでなく、長期的に入学定員の減員を迫られる可能性がある。厚生労働省では、2023年の医学部入学者が医師となる6年後の2029年頃には、医師の労働時間を週60時間程度に制限すると仮定して、人口減によって患者数が減り、医師の需要も少なくなると見込まれ、需給が逆転すると試算している。

 すなわち、医師が過剰になるというのである。その前提で、医学部総定員8397人の10%強の933人を占める臨時増員の解消を順次進めていく方針が、厚労省の検討会議で決まった。また、今まで臨時増員の多くを占めていた地域枠は解消するのではなく、逆に恒久定員の中に含めることにした。その分、一般枠の医学部定員が減少することになる。

 これまで地方国立大学の医学部には大都市の私立進学校からの入学者も多く、卒業後は地元の地域医療に従事せず、出身地に帰ってしまう例も少なくなかった。そこで、地域枠で地元出身などの入学者を確保して、地域医療に従事してもらおうという方針になったのだ。一般枠が狭まる分、今後は大都市Uターン型の受験生にとっては合格のハードルが上がるだろう。

 その代わり、地域枠はすべて特別枠になる。具体的な選抜方法は、一般入試や推薦入試などの入試形態を含め、大学と都道府県が相談の上で決める。都道府県内に複数の大学がある場合は、各大学・都道府県で地域枠の設置数の調整を行う。

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