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永田町の「謎」 現役議員秘書がぶっちゃける国会ウラ情報

森喜朗会長を辞めさせられなければ菅首相失脚説も…女性蔑視に永田町で同情論が出る理由

文=神澤志万/国会議員秘書
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東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 国会議員秘書歴20年以上の神澤志万です。

 2月3日、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会森喜朗会長が「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」などと持論を展開したことが、国際問題にまでなっていますね。

「もうほんと、この方は……」という印象しかありません。おうちのこたつでしゃべってるのならいいですけど、オリンピックがからんでいますからね。小池百合子東京都知事も不快感を示していますし、これからはスポンサー企業も対応を考えざるを得ないでしょう。スポンサー企業はみんな平等やダイバーシティを掲げていますし、(実態はともかく)企業として「女性蔑視」はあってはならないことですから。

森会長続投なら菅首相の失脚が不可避?

 思えば、森会長は2000年4月に首相に就任した翌月に「日本は天皇を中心としている神の国」と発言して陳謝に追い込まれたり、その後の6月の衆議院議員選挙で「無党派層は寝ていればいい」と言って現有議席を大きく減らしたりと、失言が多いですよね。

 03年6月には「子どもをひとりもつくらない女性の面倒を税金で見なさいというのはおかしい」と言って、批判されました。また、昨年、ある国会議員の政治資金パーティーでも失言していたことは以前に書かせていただきましたが、これはメディアはスルーしています。

 このように、今までもけっこう問題になっているのに、まったく反省していないのが森会長という方なんですよ。今回も、こんなに問題になるとは思っていらっしゃらなかったのでしょう。そして、こんな爆弾を抱えた方を会長にし続ける組織も問題ですよね。

 今回の発言に怒らない女性はいませんが、実は永田町の住人はほとんどが森会長と同意見なんです。だから、会長就任もアリだったんですね。しかも、永田町では「今回はたまたま問題視されてしまっただけで、森さんがかわいそう」と同情する声まで出ていますが、同情する余地はないでしょう。

 先日の「逆ギレ謝罪会見」でさらに反感を買った森会長に対して、世論は辞任要求が高まっていますが、元首相の森会長に後輩たちが「辞めてください」とは、とても言えないのでしょう。しかしながら、ここで森会長を辞めさせられなければ、菅義偉首相は自民党総裁でいられなくなる、つまり首相の座から引きずり降ろされるという見方も出ています。総裁任期満了や解散総選挙を待たずして、失脚するというわけです。

 橋本聖子オリ・パラ担当大臣も「あってはならない」と注意したそうですが、きっと森会長風に言えば「(男社会の中での女性の生き方を)わきまえている方」だから、辞任要求まではできなかったのでしょうね。女性活躍担当を兼任する橋本大臣にはもともと女性問題の解消なんて望んでいませんでしたが、やっぱりなあ……とがっかりしました。

もはや辞任するしか選択肢がない森会長

 そうはいっても、今回の発言が国際問題に発展してしまった森会長は辞任するしか選択肢がなくなると思っています。「日本の男女差別はひどすぎる」と世界に向けてアピールしてしまった責任は重いです。

 すでに主要な海外メディアは大きく取り上げていますし、かなり前から男女平等を重視している国際オリンピック委員会(IOC)も、今後は黙っていないと思います。日本オリンピック委員会(JOC)も、3年前に都内で「スポーツ報道におけるジェンダーバランス」をテーマに「スポーツジャーナリストセミナー」を開催していましたね。

 海外報道を受けて、外圧に弱い国内メディアも森会長への批判を強めていますし、自民党も動かざるを得ないでしょうね。コロナ禍で東京オリ・パラが開催できるかどうか、可能な限り前に進もうとがんばっているアスリートとスタッフからすれば、今回のことは迷惑でしかないでしょう。

 森会長は、世論に糾弾されて辞めさせられる前に自らの意思で退陣し、晩節を汚さずに済むよう、心から願うばかりです。日本の首相だった人なんですからね。

 そして、開催すら危ぶまれているオリ・パラの問題は、森会長が退任したとしても続きます。組織委員会は、英語も読めない名誉職的な役員たちも入れ替えて、本当のスポーツのエキスパートで構成してはいかがでしょうか。出場するアスリートの男女比も、もっと考えていただきたいと思っています。

(文=神澤志万/国会議員秘書)

『国会女子の忖度日記:議員秘書は、今日もイバラの道をゆく』 あの自民党女性議員の「このハゲーーッ!!」どころじゃない。ブラック企業も驚く労働環境にいる国会議員秘書の叫びを聞いて下さい。議員の傲慢、セクハラ、後援者の仰天陳情、議員のスキャンダル潰し、命懸けの選挙の裏、お局秘書のイジメ……知られざる仕事内容から苦境の数々まで20年以上永田町で働く現役女性政策秘書が書きました。人間関係の厳戒地帯で生き抜いてきた処世術は一般にも使えるはず。全編4コマまんが付き、辛さがよくわかります。 amazon_associate_logo.jpg

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