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藤和彦「日本と世界の先を読む」

中国、発展途上国向け融資で「秘密条項」多用が明るみに…途上国の債務解消の障害に

文=藤和彦/経済産業研究所コンサルティングフェロー
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中国・人民大会堂(「Wikipedia」より)

 フランスが主導し、海上自衛隊や米国、豪州が参加するインド洋の北東部に位置するベンガル湾での海上共同訓練「ラ・ペリーズ」が4月5日に始まった。インド洋のレユニオン島などに海軍基地を持ち、南太平洋に仏領ニューカレドニアを有するフランスは、2019年からラ・ペルーズを実施しているが、今年はインドが初参加した。在インドのフランス大使館はインドの参加について「5カ国による訓練が『自由で開かれたインド太平洋』での協力を推進する機会となる」とその意義を強調した。

 ベンガル湾は中国と国境紛争を抱えるインドの戦力圏であるが、近年中国のエネルギー調達にとって重要な地域となっている。米国との対立を深める中国は、米軍が警戒を強める南シナ海を回避するため、ベンガル湾に面したミャンマーの港から原油・天然ガスを中国に運ぶパイプラインを整備したからである。

 今回の訓練は「インド太平洋地域で覇権拡大を目指す中国への明確な牽制となる」との見方があるが、中国側は「日米豪印の戦略的な枠組み(クアッド)は明らかに中国を標的にしている」と反発している(4月7日付日本経済新聞)。ラ・ペリーズが開始された5日、中国の要請で日中外相電話会談が急遽行われたが、その背景には中国側の危機感の高まりがあったと推察できる。

 そもそも「中国包囲網」ともいうべき動きが出ている原因は、中国自身の行動にある。中国は自ら引き起こした新型コロナウイルスのパンデミック下で、好戦的な「戦狼外交」を繰り広げたことから、中国周辺に限らず、国際社会全体が警戒を強めるようになったのは今や周知の事実である。しかし中国自身はこの構図にまったく気づいていないようだ。

中国、米国と緊張関係にある国々と連携図る

 3月18日に米国アラスカ州で米国の外交トップと会談した中国の王毅外相は3月24日から30日の日程で中東6カ国を歴訪した。米国と緊張関係にある国々との連携を深め「対中包囲網」にくさびを打つ狙いだといわれている。

 最初の訪問国サウジアラビアでは国政の実権を握るムハンマド皇太子と会談した。中国外務省は「サウジアラビアは新疆ウイグル自治区や香港に関わる問題での中国の正当な立場を支持すると述べた。これに対し王氏は『サウジアラビアの内政に口を出すいかなる勢力にも反対する』と応じた」という。しかしサウジアラビア側は具体的な会談内容を公表しておらず、じっさいのやりとりは不明である。

 たしかにサウジアラビアの国営石油企業であるサウジアラムコは「今後50年、中国のエネルギー需要を満たすことが我々の最優先事項である」と秋波を送っているが、サウジアラビアの安全保障に深く関与しているのは米軍である。サウジアラビアの人権問題に厳しいバイデン政権との間で微妙な舵取りが求められている時期に、中国側の「プロパガンダ」の材料にされてしまったことで、サウジ側は苦虫を噛み潰しているのではないだろうか。

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