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広瀬すず主演ドラマ、なぜ視聴率低い?『なつぞら』以外は惨敗、『ネメシス』最終回は?

文=上杉純也/フリーライター
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『ネメシス』公式サイトより

 広瀬すずと櫻井翔のダブル主演の連続ドラマ『ネメシス』(日本テレビ系)が13日、いよいよ最終回を迎える。放送開始前は同年齢の広瀬と橋本環奈が初共演することなどで話題を集めていたが、いざ蓋を開けると、ここまでの最高視聴率は第1話にマークした11.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)が最高で、第2話以降はすべて一桁と苦戦が続いている。

 実は、広瀬が主演もしくは主演クラスで出演した連ドラは、平均視聴率21.0%を記録した朝の連続テレビ小説『なつぞら』(NHK)以外、数字が取れていないという事実があるのだ。

『学校のカイダン』(平均視聴率9.3%)

 広瀬が最初に主演した連ドラは2015年1月期の『学校のカイダン』(日テレ系)である。彼女が演じる地味な女子高生・春菜ツバメは生徒会長の役を押しつけられるものの、謎の天才スピーチライターと出会い、その教えを受ける。そして言葉の力によって腐った学校に革命を起こすという学園ドラマだった。

 共演に天才スピーチライター役の神木隆之介や杉咲花、間宮祥太朗、飯豊まりえ、成田凌などが揃っていたが、今となっては若手実力派の役者たちが、このときは“早すぎた”ということなのかもしれない。

 加えて学園ドラマということもあって、観る層が限られてしまった感はある。当時、広瀬は伸び盛りの若手女優として注目を浴びていたが、ドラマの主演女優として観たいかと言われれば、ドラマのコアターゲットとなっているF1層(20~34歳女性)・F2層(35~49歳女性)からはズレてしまった感が否めない。結局、平均視聴率は9.3%と、二桁に届いていない。

 この『学校のカイダン』以来、3年ぶり二度目の主演となった連ドラが、2018年1月期に放送された『anone』(日テレ系)である。広瀬演じる主人公・辻沢ハリカは、ネットカフェで過ごす孤独な少女。両親と弟を亡くし児童養護施設で育ったこともあり、過去の辛い思い出に蓋をして、なんとかその日を生きていた。そんな日々のなか、ある事件をきっかけに、老齢の女との運命的な出会いをする。

 生きることの意味や生きていく上で本当に大切なものを問いかける作品で、真実の人間愛を見つけていくヒューマンストーリーである。哀しく切ない一方で、温かい人々の物語が紡がれていく。ただ、勧善懲悪が好きな人や、善人・悪人など登場人物の立ち位置がはっきりとした脚本が好きな人には向かないドラマである。

 ドラマチックな展開も特になく、細かくエピソードを積み上げていく地味な作品だったこともあってか、観る人を思いっきり選んでしまったのが数字に表れてしまったように思える。賛否両論あったこともあり、視聴率は第1話の9.2%が最高で、一度も二桁に乗ることなく終わってしまった。平均では6.1%という、文字通りの“惨敗”である。

 それでも、淡々と展開し、観るものの心をじわじわと打つ本作は、18年3月度のギャラクシー賞月間賞を受賞したほか、フランスのカンヌにて開催されたコンテンツ見本市『MIPCOM2018』において、“IPCOM BUYERS’ AWARD for Japanese Drama”グランプリを受賞するなど、高い評価を受けている。作品のクオリティと視聴率は別物だということを端的に表した一作といえよう。

『怪盗 山猫』(平均視聴率10.7%)

 3本目は、主演ではなくヒロインとして出演した作品である。16年1月期のドラマ『怪盗 山猫』(日テレ系)で、主演は亀梨和也だった。怪盗及び探偵として活躍する山猫の姿を描いたエンターテインメント。

 本作で広瀬が演じたのは、常に無表情かつ無愛想な性格の少女・高杉真央である。真央は山猫に会うまではいじめられっ子だったが、天才的なハッカーでもあった。山猫と出会ったことをきっかけに心を開き、彼に協力していくのである。

 人気アイドルグループKAT-TUNの亀梨主演ということもあって、第1話で14.3%という高視聴率をマークしたものの、平均視聴率は10.7%と、ぎりぎり二桁を確保して終わっている。

 このドラマは土曜の21時枠ということもあり、視聴者層が限定されてしまう(=年配の視聴者は少ない)点が難なのだが、それがまさに当てはまった格好だ。軽快なノリである一方で、きちんとストーリーに重みもあって面白かっただけに、残念といえば残念。本作もある意味、観る人を選んでしまったワケである。

『ネメシス』、前回視聴率は7.9%

 ここで、注目の『ネメシス』に話を戻す。本作は第1話で11.4%を獲得したものの、第2話で9.5%と下降してしまった。第1話を視聴した“お客”を放してしまったワケだ。理由はいくつか考えられるが、まずは前評判で“極上のミステリーエンターテインメントが誕生!”と謳っていた割には、謎解きが“稚拙な種明かし”に見えてしまったことが挙げられよう。

 また、殺人事件が起こるまで尺が長すぎてテンポが良くなかった点も気になった。いくら関係者が多いとはいえ、死体が発見されるまでに20分かかるのは長すぎだ。

 このような点が致命傷となって、離脱する視聴者が増えてしまったのではないだろうか。6月6日に放送された第9話は最終回の直前回なのに、これといった新鮮な見どころがなく数字も7.9%と低空飛行となった。映画化の噂もあるが、こんな調子で果たして大丈夫なのだろうか。

 最後に、広瀬すず自身について触れておきたい。今月19日に誕生日を迎え23歳となるが、連ドラの主演女優としては、まだ“若すぎる”のである。ドラマの視聴者層は20代半ばから30代後半の女性が大半を占めている。ヒット作は、その同世代の女性たちの等身大の姿を描いた作品が多くなるワケだ。

 要するに、こうした役を演じるには、広瀬はまだ早いのである。テレビCMでは好感度が高くても、いざドラマになったら主演として演じられる役がない。それでも、演技力には定評がある。だからこそ、ドラマよりも映画のほうに傑作が多いのも納得である。

 ちなみに、朝ドラ以外で主演や主演クラスで出演した連ドラは、すべて日本テレビ制作だ。となれば、次は他局での主演作を観てみたい。とはいえ、年齢を重ねた先に、広瀬すずに相応しい役柄が待っているのかもしれない。

上杉純也/フリーライター

上杉純也/フリーライター

出版社、編集プロダクション勤務を経てフリーのライター兼編集者に。ドラマ、女優、アイドル、映画、バラエティ、野球など主にエンタメ系のジャンルを手掛ける。主な著作に『テレビドラマの仕事人たち』(KKベストセラーズ・共著)、『甲子園あるある(春のセンバツ編)』(オークラ出版)、『甲子園決勝 因縁の名勝負20』(トランスワールドジャパン株式会社)などがある。

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