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江川紹子の「事件ウオッチ」第184回

【新型コロナ対策】菅首相はすぐに国会を開け! 今のままでは責任放棄だー江川紹子の提言

文=江川紹子/ジャーナリスト
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菅義偉首相(写真左)と尾身茂コロナ対策分科会会長(Getty Imagesより)

 先に結論を述べる。

 菅義偉首相は、ただちに臨時国会の召集を決定し、新型コロナウイルスの感染拡大を収束させるために必要な法整備について、早急に論議を始めるべきだ。

見通し甘く、対応が後手後手の菅政権

 その理由は2つ。第1に、今の感染状況は「お願い」「要請」では対応しきれなくなっているうえ、そうした曖昧な措置で国民の私権を事実上制限するのはもはや限界だ。感染症対策の専門家からも法的枠組みを求める声が出ている。第2に、野党が臨時国会を求めており、政府がそれに応じるのは憲法上の義務だ。

 コロナ禍第5波は、これまでとは比べものにならない勢いで拡大している。ウイルスが感染力の強い変異株に置きかわったうえ、オリンピックや夏休みで人々の緊張感が緩んだ。そしてメディアも、「コロナ疲れ」「自粛疲れ」といった言葉で、自粛に倦んだ人々が繁華街に繰り出す様子を伝え、「みんな出かけている」とのメッセージを市民に届けている。緊急事態宣言を出しても、これまでのようには人出が減らない。

 しかも、医療供給体制はなかなか拡大しない。そのため、感染して症状がかなり進んでも、患者は以前のように入院ができない。自宅療養を強いられ、適切な治療を受けられないまま症状が悪化し、そのまま死亡するケースも出ている。さらに家庭内感染の機会も増え、感染者を増やすことにもなっている。

 ワクチンの効果もあって、高齢者層の重症化は以前より抑えられているが、いまだワクチンが行き渡っていない50代や40代の現役世代で重症化する人が増加。東京都ではこの年齢層が重症者の6割を占めている。

 高齢者の感染が減ったことや治療法の進化で、死者の数は大きく増えてはいないが、30代や40代の死亡も報じられている。それに、これ以上患者が増えれば、今後は後遺症に苦しむ人も激増するだろう。コロナは「死亡リスクが高い人だけを用心すればいい」病気とは違う。

 菅首相は強力にワクチン接種を推し進めたが、残念ながら第5波には間に合わなかった。この事態は予測されていたのに、見通しが甘く、ワクチン以外の対策も不十分だった。

 今なお首相は、自らが音頭をとったワクチン接種と軽症者の重症化を防ぐ治療「抗体カクテル療法」に関しては熱を込めて語るものの、人流の削減や医療体制の拡充などについては、記者会見での口ぶりも、あからさまな棒読みである。

 一方、政府の基本的対処方針分科会(尾身茂会長)は、東京都の人流を緊急事態宣言直前の7月前半から5割減にするなど、2週間の期間限定で人出を削減する対策が必要だと提言している。

 提言を実現するために、尾身会長は、先月末の首相会見やその後の国会閉会中審査、あるいは報道陣の取材に対し、繰り返し法的枠組みの検討を求めてきた。

 これまでの対策では、飲食店などの事業者に制約をかけ、一般の人々の行動制限は法的な根拠のない“お願いベース”で行ってきた。しかし、今のように感染が拡大する状況では、これでは不十分で、新たな法的仕組みについての論議が必要だという意見が、分科会の専門家たちから出ている。

「個人に感染リスクの高い行動を避けてもらうことを可能にするような新たな法的な仕組みの構築、あるいは現行法の活用ということも必要。ただ、これには国民の間でさまざまな議論があると思うので、法的な仕組み作りの検討だけは早急に議論していただきたい」(8月17日首相記者会見での尾身氏発言)

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