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犬を飼い始めてから“失敗した…”とならないための超基本知識…犬の選び方、躾、病気予防

文=前川ミチコ/フリーライター
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「Getty Images」より

 コロナ禍で生活に癒やしを求め、犬を飼い始める人が増えています。「全国犬猫飼育実態調査」(一般社団法人ペットフード協会)の2020年10月の調査では、新たに犬を迎えた人が前年より14%増。一方、飼ってみたら思ったより大変だったと飼育放棄する人がいるといった問題も。ここでは、初めて犬を飼う人の最初のつまずきを防ぎ、パートナーとの豊かな暮らしを共に楽しめるよう、犬の飼い方・育て方の基本を解説します。

互いの幸せにつなげる犬選び

 犬は嗅覚・聴覚に優れた動物。知能は人間の2歳半程度、足が速く持久力もあるなど、さまざまな特徴がありますが、年齢や犬種などによる個体差もあります。飼い主との相性や住環境なども考えて、より適した犬を選ぶことがお互いの幸せにつながります。見た目の好みだけでなく、次のような観点からも考えましょう。

(1)飼い主の体力

 どんな犬も、病気や怪我をしていないかぎり毎日の散歩は欠かせません。大型犬だけでなく、小型犬でも多くの運動量を必要とする犬種があり、ボールなどを使った運動も好むので、飼い主にも体力が求められます。

(2)ライフスタイル

 犬種にかかわらず、子犬はいたずらが大好き。誤食などから愛犬や大事な家財道具を守るため、子犬のうちはなるべく留守番をさせないほうが望ましいといえます。落ち着いた成犬を迎えるという選択肢もあります。

(3)住まいの環境

 マンションなどでは飼育できる犬のサイズや頭数などに制限があるケースも。また、階段の上り下りの多い家は、足の短い犬種や超小型犬にとって負担となることもあります。

(4)掃除・お手入れ

 一般的に長毛種のほうが抜け毛の掃除やブラッシングに時間がかかることも。なかには定期的なカットを必要とする犬種もあり、プロに頼むと1回数千円〜かかります。

(5)子犬か、成犬か

 子犬には子犬ならではのかわいい時期がありますが、どの子も1年で成犬になります。成犬のほうが性格やサイズなどがわかった上で飼えるというメリットもあります。

(6)どこから迎えるか

 知人や行政の保護施設、動物愛護団体から譲り受ける、またはブリーダーやペットショップから購入する方法があります。なお、生後3〜12週齢の社会化期に親や兄弟犬などとの関係を通して社会性を身につけた犬は、問題行動を起こしにくいといわれます。

叱らない・できたときに褒める

 しつけは犬が人間社会で生きていくうえで必要なもの。お互いに快適に暮らせるようになるために、飼い主の言うことをきける犬に育てましょう。子犬のほうがしつけをしやすいと言われることもありますが、個体差が大きく、成犬になってからでもしつけは可能です。

 トイレのしつけは、犬を迎えたその日からスタート。トイレの場所は生活空間から少し離れたところに設け、最初は誘導し、徐々に自分で行けるように習慣をつけてあげましょう。アイコンタクトは、犬との絆を深めるために一番大切なこと。名前を呼んだとき、飼い主の目を見ることができたら全力で褒めます。これができるようになると、他のしつけもしやすくなります。

 コマンド(命令)を出し、従ってくれないときに叱るのではなく、従ってくれたときに褒めるのが、しつけの基本。ここぞというときにおやつを使うのも効果的です。犬が混乱しないよう、コマンドは家族で統一することが重要です。

(1)「マテ」→「ヨシ」

 ごはんを与えるときなどに静止して待たせる(マテ)→解除する(ヨシ)の練習をしておくと、自制心が鍛えられ、事故を未然に防ぐことにもつながります。

(2)「ハウス」

 飼い主の号令でケージやクレートに入れるようにしておくと、必要なときに犬の行動を制限することができます。犬にとって安心できる場所であると認識させることが大切です。

(3)「オイデ」「コイ」

 犬が飼い主から離れているとき、近くに来させるコマンド。「オイデ」による呼び戻しができるようになると、万が一の逃走時などにも犬を危険から守ることができます。

(4)「イケナイ」「ダメ」

 咬んではいけないものを咬むなど、してほしくないことをしたときのコマンドは、低い声で言うのが原則。甲高い声で言うと、犬は飼い主が喜んでいると勘違いしてしまいます。

 これらのしつけがうまくいかない場合も、体罰や大声で叱るのは厳禁。しつけ教室に参加する、トレーナーの訓練を受けるなども検討してみましょう。

避妊・去勢には病気を防ぐ目的も

 犬の避妊・去勢は、望まない繁殖を防ぐことはもちろん、犬を発情のストレスから解放させること、将来かかるかもしれない病気を未然に防ぐことも目的とされます。手術が必要となることでのリスクもありますが、次のようなメリットもあります。

 メス犬は、生後8〜12カ月くらいで最初の発情を迎え、その後は6〜8カ月おきに発情を繰り返します。妊娠すると、1回に5〜10頭の子犬を産むケースが一般的です。繁殖を希望しない場合、なるべく最初の発情前に避妊手術をしましょう。手術は短期間の入院ですむことが多く、傷跡もほとんど残りません。発情期の出血などから解放され、発情期にオス犬が集まってくることもなくなります。また、子宮蓄膿症や乳腺腫瘍などの病気を予防できます。

 オス犬は、決まった発情期はなく、生後8〜12カ月以降は、発情したメス犬がいればいつでも交尾が可能に。繁殖の予定がないなら、早めに去勢手術を行いましょう。性格が穏やかになってしつけがしやすくなる、順位をめぐるオス犬同士のケンカがなくなる、発情したメス犬を求めるストレスがなくなる、前立腺肥大や肛門周囲腺腫などの病気を未然に防げるなどのメリットがあります。

人間にはOKでも犬にはNGな食べ物

 人間と犬は体の仕組みが異なり、人間にとって健康に良いとされる食べ物でも、犬には有害となるものがあります。消化器などにダメージを与え、最悪の場合は死に至るケースもあるので、NG食品について覚えておきましょう。

 ネギ類、チョコレート、ぶどう、キシリトールは、中毒症状を引き起こすことがあります。絶対に与えてはいけません。

 また、食物繊維や脂肪分、糖分が多いものには注意が必要です。そもそも肉食に適した体のため、食物繊維を多く含む野菜や穀類、海藻類の消化は苦手。肉の脂身なども消化不良を起こしやすくなります。糖分は多くの食品に含まれているため、過剰摂取は肥満などにつながります。

お散歩・お出かけを楽しめるパートナーに

 毎日のお散歩は犬と暮らす醍醐味。お散歩デビューから徐々に慣らし、一緒にお出かけや旅行を楽しめるパートナーになってもらうと、犬との暮らしはもっと豊かになります。

 お散歩デビューのタイミングは、子犬の場合、生後16週ごろです。ワクチン接種が終わって2週間たったら、地面を歩かせてOK。ワクチンを摂取する病院で確認しましょう。ただし、生後3〜12週くらいは社会化のために重要な期間でもあるので、抱っこなどで近所を散歩し、他の犬や人、外の環境に慣れさせておくことが大切です。その間に次のようなお散歩グッズを揃えておきましょう。

(1)首輪/ハーネス

 首輪は飼い主の意思を犬に伝えやすく、ハーネス(胴輪)は呼吸器に負担がかかりにくいというメリットがあります。引っ張りを防止するハーネスを使う、首輪とハーネスを両方使うケースも。

(2)リード

 ヒモに持ち手のついたシンプルなもの、肩からかけて両手を使えるようにするショルダーリードなど、さまざまなタイプがあります。伸縮するタイプもありますが、操作に慣れるまでは車や人通りの少ない広い場所で使いましょう。

(3)飼い主グッズ

 最低限必要なのは、うんちを拾って持ち帰る袋、おしっこを洗い流すボトル、これらを入れるお散歩バッグ。少し遠くに行けるようになったら、折りたたみ式の水飲みボウルもあると便利です。

(4)足拭きティッシュなど

 お散歩から帰宅後、愛犬の足の裏などを拭くもの。汚れがひどい場合は洗いましょう。

 お散歩デビューに当たっては、お散歩=楽しいと思ってもらうことが大事です。最初のうちは天候のいい日、交通量の多くない安全な時間帯やコースを選び、短距離から徐々に距離を延ばしていくのがコツ。また、夏場の日中のアスファルトの熱さは危険です。地面に触れてチェックしましょう。また、お散歩中や公園などでは他の犬に会うことが多く、マナーにも気を配りたいところ。こちらの愛犬がご挨拶をしたがっても、お互いの相性もあるので、近づけてもいいか相手の飼い主さんに聞きましょう。

 お散歩を好きになってもらうと、犬同伴OKのカフェやレストラン、キャンプや旅行などと一緒にお出かけを楽しめるようになり、犬との暮らしはより豊かなものになります。苦手なことは無理をさせず、少しずつできることを増やし、絆を深めていきましょう。

参考資料

・犬の飼い方(東京都福祉保健局安全部環境保健衛生課)

・飼い主のためのペットフード・ガイドライン~犬・猫の健康を守るために~(環境省)

(文=前川ミチコ/フリーライター)

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