
東日本大震災以来初となる“震度5強の揺れ”が首都圏を直撃した。7日深夜の首都直下を震源とする地震による負傷者は32人(8日朝時点、総務省消防庁の集計)にのぼり、新交通システム「日暮里・舎人ライナー」(東京都)も脱線、首都圏の鉄道各社は深夜まで運転を見合わせた。各社報道ではJR、京急品川駅などで右往左往する乗客の姿がたびたび切り取られ、あらためて「災害時の帰宅困難者の存在」が浮き彫りになった。
7日深夜、JR品川駅で立ち往生した川崎市在住の40代男性会社員は語る。
「震災の時のことがフラッシュバックしました。どこかで夜明かししようと考えたのですが、結局、一時滞在施設がどこなのかわからず、ただじっと電車が動くのを駅構内でうずくまって待っていました」
震災時に発生した帰宅困難者は約515万人。大規模災害時、首都圏に通勤・通学するすべての人がその被害者となり得る古くて新しい問題だ。果たして自治体やJR東日本はどのように対応したのだろうか。JR東日本広報部の担当者は次のように語る。
「一般的に大規模災害が発生した対応として、東京の30キロ圏内にある約200駅において一時滞在場所の提供や、そうしたスペースがない駅においてもトイレや公衆電話をできる限り、提供するといった対策を実施しています。一時滞在場所を提供する駅においても、要援助者を対象に飲料水や毛布、救急用品などの提供を行っております。
今回の地震に関してはそうした対応を行ったかどうかは各駅で確認してみないとわかりません。基本的に駅構内で安全を確保できる場所、運転再開まで支障なくお待ちいただける場所をできる範囲で提供するという考え方です」
民間事業者として自社の管轄内ででき得る限りの努力をしているが、駅が所在する自治体が用意する一時滞在施設などのアナウンスまでは手が回らないというのが実情のようだ。
品川区は駅に職員を派遣も、今回は一時滞在施設の開設を見送り
一方、品川駅を有する東京都品川区の防災課の担当者は次のように話す。
「今回の地震では、帰宅困難者向けの具体的なアナウンスはしておりません。昨晩は職員40人体制で対応にあたり、区内の主要駅、目黒、五反田、大崎、大井町各駅に職員を派遣し、帰宅困難者の状況などを把握していました。実際、それほど混乱している状態ではなく、未明に電車が動き出したタイミングでは、滞留されている方はほとんどいらっしゃらないという状況でした。区としては、一時滞在施設開設の準備だけはしていたのですが、実際には開設はしませんでした。