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木下隆之「クルマ激辛定食」

メルセデス・ベンツ、新型Cクラスが劇的変貌…Sクラス並みに拡大、でも旋回性もアップ

文=木下隆之/レーシングドライバー
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メルセデスベンツ・新型「Cクラス」

 メルセデスベンツ「Cクラス」が新型になり、日本市場導入となった。まずはガソリンエンジンを搭載するマイルドハイブリッドのセダン「C200」である。世界的な半導体不足により、あるいはサプライヤーが点在する東南アジアからの部品供給不足も重なり、生産が滞っている。そのため、ディーゼルエンジン搭載車やステーションワゴンの日本上陸は、年末以降に予定されている。まずは真打、正統派セダンからの展開となった。

 新型C200を前にしてまず驚かされたのは、車格が格段に高まったことだろう。全長は4785mm、先代に比較して80mmも長くなった。全幅は1820mmと、わずか10mmの拡大であり、全高は1435mmで、5mmというささやかな拡大にとどめている。全長の拡大だけが際立っている。

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 デザインテイストは新型「Sクラス」と同質であり、相似形を思わせる。フロントマスクの造形や、そこからリアに導かれるキャラクターラインや、あるいは後端にいくに従ってなだらかな稜線を描くルーフエンドとリアガラス、そして極め付きは2ピースとなったリアのコンビネーションランプなど、SクラスのDNAを秘めていることは明らかだ。街中で不用意にすれ違ったら、Sクラスと見間違えてしまうかもしれない。それほどボディは堂々としている。

 となれば、取り回しを気にするのは日本の狭い道を知っているからだ。だが、その点でもSクラス譲りの細工が行き届いている。前輪のステアに同調して後輪が最大2.5度も位相するのである。いわば「4WS」である。4輪がステアすることで旋回性と直進安定性をバランスさせたのだ。

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 速度60km/h以下で後輪は、前輪と逆側にステア、フォークリフトの感覚で小回りを効かせる。最小回転半径は先代の5.3mから5mまで短縮している。実際に運転してみると、不思議な感覚に陥るほど、その場でクルリと旋回した。逆に、速度60km/h以上では前輪と同じ方向に位相する。それによって高速安定性を確保するのである。一連の制御もSクラスでのノウハウが注がれていることは間違いない。

 搭載するエンジンは直列4気筒1.5リッターターボであり、発電機と共有する電気モーター「ISG」が組み合わされる。最高出力15kW、最大トルク200Nと、先代比で一気にパワーを高めていることで、発進の瞬間のアシストが力強い。

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 ただ、言葉にすれば「マイルドハイブリッド」ということになるのだが、速度が高まればエンジンパワーだけの巡航になるし、電気モーターだけの走行は不可能だ。あくまで発進の瞬間のアシストに徹しており、ISGの存在は聞かされなければわからない。つまり、それほど自然なのである。

 そもそも、全長が延長されたと同時にホイールベースも25mm長くなった。新開発のフロントシートは薄く背面がえぐられている。それにより後席の乗員がゆったり寛げる空間になった。外観からの印象がSクラスと酷似しているように、室内空間も格上にスープアップした。

 格段に車格感を増した新型Cクラスもこれまで同様、このカテゴリーでの販売トップに輝くに違いない。
(文=木下隆之/レーシングドライバー)

木下隆之/レーシングドライバー

木下隆之/レーシングドライバー

プロレーシングドライバー、レーシングチームプリンシパル、クリエイティブディレクター、文筆業、自動車評論家、日本カーオブザイヤー選考委員、日本ボートオブザイヤー選考委員、日本自動車ジャーナリスト協会会員 「木下隆之のクルマ三昧」「木下隆之の試乗スケッチ」(いずれも産経新聞社)、「木下隆之のクルマ・スキ・トモニ」(TOYOTA GAZOO RACING)、「木下隆之のR’s百景」「木下隆之のハビタブルゾーン」(いずれも交通タイムス社)、「木下隆之の人生いつでもREDZONE」(ネコ・パブリッシング)など連載を多数抱える。

Instagram:@kinoshita_takayuki_

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