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松崎のり子「誰が貯めに金は成る」

マイナポイント第2弾が見切り発車すぎる?そもそも出番がないマイナンバーカード

文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト
マイナンバーカード(「Wikipedia」より)
マイナンバーカード(「Wikipedia」より)

 2022年1月から「マイナポイント第2弾」がスタートしたという。報道でご存じだろうが、付与されるのは合計で2万円分。その内訳は、①マイナンバーカードを申請・取得した人に5000円、その後で②保険証として使える手続きをすると7500円、③公金受け取り口座の登録をすると7500円、との分割式だ。すでに前回のマイナポイント事業でカードを作成済みの人は、残る最大1万5000円分のポイントが受け取れる。

 しかし、焦らなくてもいい。「①カードの作成で5000円」だけが始まったにすぎない。カードの申し込み期限は2022年9月末までで、マイナポイントの申請は2023年2月まで。保険証としての利用申し込み・公金受け取り口座登録でのポイント申請は6月から開始予定だ。

 すでに第1弾のマイナポイントを受け取り済みの人は、6月まで様子見となる。前回作ったものの、まだ①の申し込みをしていない人は5000円付与の対象になるので、手続きをするといいだろう。

 今さらながらだが、「マイナポイントって何だっけ?」という人にざっと説明をする。この事業に参加しているキャッシュレス決済事業者の提供する、電子マネー・プリペイドカード・QRコード決済・クレジットカード・デビットカードを一つ選んで申し込みをする。申し込みは、スマホやPCサイトのほか、コンビニATMやマルチコピー機などから可能だ。選んだキャッシュレス決済に2万円分チャージしたり、利用することでポイント還元が受けられる(詳しくはマイナポイントの公式サイトを参照)。

 2万円を使って(あるいはチャージで)5000円が受け取れるということは、普段必ず2万円を使う用途に紐付けるのがいい。筆者は、いつも買い物をするスーパー系のクレジットカードを選び、毎月の食費をカードで決済した。おかげで受け取ったマイナポイントもそのまま食費に充てることができ、有効に消化できた。

 なお、一度選んだキャッシュレスサービスは原則として変更できないことになっている。となると、すでに①のポイントを受け取ってしまっている場合も、②③において前回と同じサービスでないといけないのかとの疑問が湧く。コールセンターに問い合わせたところ、この仕組みが②③にも適用されるかは、まだ決まっていないとの回答だった。マイナポイント事業という名がついているので、ポイント還元だろうとは思うのだが……。もし銀行口座を登録させたいなら、③については現金で振り込んでくれることにすれば、誰もが喜んで登録しそうだが。

 どちらにしろ、②保険証③公金受け取り口座登録のポイント付与については、追加の情報公開待ちということだ。

マイナカードでできることが、特になさすぎる

 2022年1月1日現在のマイナンバーカードの交付枚数率は41%だそうだ。総務省が公開しているデータのうち最も古い2017年3月時点が8.4%なので、ずいぶん増えたなあという印象ではある。マイナポイント事業が一役買ったことは否めず、筆者も本来は必要性を感じなかったが、記事を書くために申し込みをした。しかし、カードを取得して以来、これといった出番はない。

 メリットとしてよく言われる「コンビニで住民票の写しや印鑑登録証明書等証明書が取れる」だが、まだその必要に迫られず、利用する機会がない。便利な機能なのだろうが、普通の人では年に一度使うかどうかだ。マイナポータルに登録することで児童手当など妊娠・子育て関連の手続きはネット上でできるが、これも利用者は限られるだろう。

 マイナンバーカードがあれば接種証明が発行できる「新型コロナワクチン接種証明書アプリ」も、やっと旧姓併記のカードに対応したが、3回目の接種が進んだ場合、そのデータは自動更新されるのだろうか?

「なるほど、これがあって便利だ」という実感を持てないまま、保有して1年あまりが過ぎた。先ほども書いたが、マイナポイント自体もキャッシュレスサービスの利用によって付与されるため、カードを収納場所から出す機会はなかったのだ。

 DXと耳にタコができるほど聞くが、口座登録にしろ、健康保険証との連携にしろ、このようなカードの現物がなければできないはずもなく、それこそマイナンバーを入力させて登録する専用フォームを作れば済むのでは、という気がする。「デジタル化の推進には、チップが付いた現物であるマイナカードがなくてはできません」という仕組み自体が、DXという言葉から遠く感じてしまうのだが……。

銀行口座登録はキャンペーンが期待できそうか

 マイナカードの作成以外はまだ詳細は決まっていないとはいえ、銀行口座を登録する際には、銀行側がインセンティブを加えたキャンペーンを打ち出してくる可能性は大いにある。

 登録してもらえば末永く国からの給付や支援金の受け取り口座になるのなら、各銀行も本気を出すだろう。これはあくまで個人的な想像だが、銀行口座の登録と、従来のキャッシュレス決済を噛ませるのは何ともややこしく、ポイント付与というよりキャッシュバックになることも考えられる。

 銀行としては、その際に自行のデビットカードを作ってもらえればキャッシュバック率を時限的に高くするとか、新規で口座を作ってもらえるなら7500円に加えて500円を上乗せでキャッシュバックをするとか、楽天銀行のように自社ポイントを持っているネット銀行なら期間限定ポイントを大盤振る舞いするなどの打ち出しは大いにあり得る。

 どちらにしろ、もし無駄に給付金を使ってしまいたくないのなら、生活口座より専用口座として定めたほうがいい。給与の振り込み口座はあくまで生活費用のものであり、さまざまなお金が引き落とされ、何かと出入りが激しいものだ。使う口座と貯める口座は切り離すべきで、せっかく給付されたお金をよくわからないまま使ってしまったというのが一番もったいないからだ。

 18歳以下の子どもに支給される臨時特別給付の10万円を、すでに受け取った家庭もあるだろう。児童手当が支給されている家庭なら、その口座に振り込まれているはずだ。こうした公的な支給を受け取る口座は専用化して、「いつの間にか……」を防ぎたい。

 なんといっても、使われるのは我々の税金である。今後のポイント受け取りの手続きは、なるべくシンプルにわかりやすく、余計に事務費がかかることのないように設計してほしいと願うばかりだ。

(文=松崎のり子/消費経済ジャーナリスト)

松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

松崎のり子/消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。生活情報誌等の雑誌編集者として20年以上、マネー記事を担当。「貯め上手な人」「貯められない人」の家計とライフスタイルを取材・分析した経験から、貯蓄成功のポイントは貯め方よりお金の使い方にあるとの視点で、貯蓄・節約アドバイスを行う。また、節約愛好家「激★やす子」のペンネームでも活躍中。著書に『お金の常識が変わる 貯まる技術』(総合法令出版)。
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