ビジネスジャーナル > 社会ニュース > 「関関同立」ブランドが崩壊の危機?
NEW
木村誠「20年代、大学新時代」

関関同立ブランド崩壊の危機か…大阪公立大の誕生や近畿大の猛追で激変の大学事情

文=木村誠/大学教育ジャーナリスト
関西大学の千里山キャンパス(「Wikipedia」より)
関西大学の千里山キャンパス(「Wikipedia」より)

 京都大学・大阪大学・神戸大学・同志社大学・立命館大学・関西大学・関西学院大学の7大学が参加する「関西7大学フェスティバル」が、毎年開催されている。コロナ禍の2021年は8月にオンラインで開催され、それぞれの大学・入試情報を集めた特設サイトが公開された。そして、各大学の理事・副学長などによるパネルディスカッションがライブ配信され、関西地区だけでなく全国の受験生に向けてPRしたのである。

 この「国立大」京阪神トリオ(京都・大阪・神戸の各大学)と「私立大」関関同立が、全国に通用する「関西圏のブランド大学」であるという自負であろう。しかし、その定評も、大阪府立大学と大阪市立大学の統合で、学生数などスケールで国公立大全国ナンバー3、公立大では同ナンバー1となった大阪公立大学の登場と、「早慶近」を自称する近畿大学の拡大戦略で危うくなりつつある印象だ。

 それにしても、大阪府立大と大阪市立大の統合には驚いた。「維新の大阪都構想の大学版」であることは誰もが予想できるが、一方で「連合赤軍のリーダーであった森恒夫と、よど号ハイジャック集団のリーダー田宮高麿が属した、日本赤軍の根城と言われたあの市大がねえ……」という全共闘世代も多かったのではないだろうか。当時、大阪市立大は「関西ブント」が学生運動を主導していたからだ。

 ともかく大阪外国語大学を統合した大阪大といい、今回の大阪公立大といい、何でも大きくすることがお好きな「大・大阪」の土地柄が表れているようだ。

 また、大阪公立大は、大阪府立大OBで阪神電気鉄道取締役会長、株式会社阪神タイガースオーナーの藤原崇起氏からのメッセージ「開学に寄せて」を公式HPで公開するなど、広報活動も盛んだ。

 それに比べて、京都勢は孤高を行くかのような印象だ。京大と同志社大は、それぞれ関西で国立・私立トップの立ち位置は揺るぎそうにない。ただ、「どっぷり大阪」の関西大や大阪府茨木市に学部キャンパスを置く立命館大などは、大阪公立大や近畿大の影響をもろに受けそうだ。

 激動する関西圏の私立大学の動きを探ってみよう。

人気トップの関西大は外国人学生を大幅増へ

 入試偏差値などから言えば「同立関関」あるいは「同関立関」でもよさそうなのに、なぜ「関関同立」なのか。実は、半世紀も前に大阪にあった予備校の関係者が、大阪府にある関西大の評価を高めるために「関西大をトップにした関関同立」を定着させたとも言われている。やはり「大・大阪」の自負心が反映されているのかもしれない。

 確かに関西大は関西圏の受験生には人気があり、「志望したい大学」では関関同立でトップである。関西圏の国公立志向の強い受験生や、同志社大・立命館大・関西学院大の受験生にとっても、関西大をまず志望校に加えたい、ということであろう。

 また、人口の多い大阪府下の私大で難易度ナンバー1という地の利も大きいと思われる。さらに、OBに桂文枝(6代目)など落語家が多いことも、地元の人にとって親しみを感じさせる校風なのであろう。

木村誠/大学教育ジャーナリスト

木村誠/大学教育ジャーナリスト

早稲田大学政経学部新聞学科卒業、学研勤務を経てフリー。近著に『ワンランク上の大学攻略法 新課程入試の先取り最新情報』(朝日新書)。他に『「地方国立大学」の時代–2020年に何が起こるのか』(中公ラクレ)、『大学大崩壊』『大学大倒産時代』(ともに朝日新書)など。

関関同立ブランド崩壊の危機か…大阪公立大の誕生や近畿大の猛追で激変の大学事情のページです。ビジネスジャーナルは、社会、, , , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!