読売ジャイアンツ(巨人)のキャプテン、坂本勇人の“不祥事”が、6月16日発売の「週刊新潮」(新潮社)によって報じられた。
阿部慎之助・作戦兼ディフェンスチーフコーチに並び球団史上最長となる8年目のキャプテンを務めている坂本は、2008年に松井秀喜以来となる10代で開幕スタメン入りを果たすと、すぐにレギュラーに定着。日本代表でも活躍し、2014年に史上最年少で通算1000本安打を達成、2016年には遊撃手としてセ・リーグ初の首位打者を獲得、2020年には史上2番目の若さで通算2000本安打を達成するなど、押しも押されもせぬ巨人のトップスターとなった。
そんな坂本が2018年、春のキャンプ中にキャバクラで、接客中の女性に噛みついてケガを負わせたというのだ。新潮の記事によると坂本は、酒を飲み進めて酔いも手伝ったのか、接客していた2人の女性を自身の泊まるホテルに誘ったものの、断られると逆上して女性たちの肩や太ももに噛みついたという。
翌日、坂本は謝罪に訪れ、一人の女性は謝罪を受け入れたものの、もう一人の女性とは交渉が難航。結局、坂本は合計550万円を支払うことで示談が成立したと報じられている。
それから4年。なぜか今になって事件が報じられた。どこから情報が漏れたかは定かではないが、暴露系YouTuberの「ガーシー」こと東谷義和が、このネタに追随したことで新たな局面を迎えている。
坂本勇人の件
— 東谷義和のガーシーch (@GaaSyy_ch) June 16, 2022
いろいろやってたら出しそびれたなー
週刊誌との競争みたいになってきたなw pic.twitter.com/pyJPTSJoI3
情報漏洩した女性にペナルティは?
坂本から550万円を受け取って示談した女性は、新潮の取材で詳細を語ることは控えているものの、東谷は女性と坂本の「合意書」を入手して動画で公開している。女性が直接、東谷に渡したかどうかは別にして、女性側から流出したのは明らかだ。問題はその合意書の第3項目だ。
「甲及び乙は、本合意書の内容、本件事案に関連する事実(本件事案の存在、内容及び本合意に至る交渉経過を含む。)、その他相手方に関連する一切の情報(相手方から受領したLINEメッセージ、メール、画像を含む。但し、公知の情報は除く。)を秘密とし、第三者に開示又は漏洩しないことを約束する」
つまり、いわゆる“秘密保持”を約束しているわけだ。あくまでも私人間の約束であり、それを破ったからといって刑法などに触れる行為でもないが、女性がなんらかのペナルティを課されることはないのだろうか。山岸純法律事務所の山岸純弁護士は、次のように解説する。
「坂本勇人さんと示談をしたこの女性がYouTuberに合意書を開示したのでしょうが、間違いなく『合意書』違反です。もっとも、違反したからといって、損害がいくらになるのかは、坂本勇人さん側が主張し、立証しなければなりません。
『女性による第三者(YouTuber)への漏えい』と『YouTuberによる暴露』は因果関係が認められるでしょうから、『YouTuberによる暴露』によってどのような損害が発生したかを主張・立証することとなります。もっとも、こういった『示談したこと』自体の秘密が暴露されたとしても、果たしてどんな損害が発生したかについては、なかなか主張・立証できません。
そこで、このような場合に備え、『違約罰』を定めておくのが、弁護士の腕の見せ所です。この違約罰は民法の規定に基づくもので、『約束に違反してある行動をしたとき』に、あらかじめ支払う額を決めておくものであり、裁判所も、『ウソをついたら1億万円』といったアホな内容でない限り、そのままの額を支払うよう命じなければなりません。
今回は、残念ながら『合意内容を第三者に漏えいしたら〇〇円の違約罰を支払う』という条項がないので、この女性に対する合意違反の責任を追及するのはまずムリですね」
東谷が公開した合意書を見る限り、秘密保持の約束はあるが違約罰に関する条項がないため、坂本側としては違約金などを求めることは難しいというわけだ。そうなると、坂本及び巨人としては、ひたすら沈黙して騒動が沈静化するのを待つほかないのかもしれない。
(文=Business Journal編集部、協力=山岸純弁護士/山岸純法律事務所代表)