ロシアによるウクライナ侵略が始まってから4カ月。現時点では、さらなる長期化が避けられない情勢だ。こうしたなか、ウクライナ現地を取材して帰国したフリージャーナリストの田中龍作氏と志葉玲氏を招いての合同報告会と対談が6月25日18時30分から、東京文京区の文京シビックセンター「スカイホール」で開催される。
この戦争に関しては膨大な情報が飛び交い、インターネット空間では情報過多の側面もある。だからこそ、まずは現地を長期間取材してきた人の話を、じっくりと聞くことが大切だろう。
SNSをはじめとするネット情報では、どうしても感知できない現地の空気、匂い、皮膚感覚での理解も必要だからだ。
当日の報告会では、まず志葉玲氏による報告(動画を含む)を行う。次に田中龍作氏によるスチール写真を交えての現地報告の順に進める。現地では何が起きているのか、また当事者(ウクライナ住民)がどう暮らし、何を思っているのかを、2人の報告から読み取りたい。
2人の報告終了後は、筆者が司会として参加し、ウクライナに関する問題を話し合う。対談というより鼎談に近い形になる。
プーチン露大統領と彼の支持者たちが主張する「NATO東方拡大が戦争の原因」とする見方に対し、「ロシア帝国主義の東方拡大が戦争の原因」とする拙著『増補版プーチン政権の闇~チェチェンからウクライナまで』で示した見解を2人に聞き、そこから多方面に話を展開させる予定である。
当事者(ウクライナ住民)抜きの“評論家”的議論
この合同報告集会の意図としては、侵略者であるロシアやプーチン大統領を支持したり、一定の理解を示す一部の世論について、指摘する意味もある。
フランスの制作会社CAPAが制作して今年放送されたドキュメンタリー『ワグネル』によれば、ロシアによるフェイク専門ニュースサイトは147もある。そのうちの一つのサイトだけでも、月間1億回のアクセスがあるという。
こうしてロシアのプロパガンダとフェイク動画が拡散されているのだ。その影響もあり、ロシア・プーチン大統領がウクライナ侵略正当化の理由に挙げるNATOの東方拡大とウクライナの非ナチ化を容認する一部の世論がある。
今回報告する田中龍作氏と志葉玲氏が取材したブチャの虐殺事件についても、いまだにウクライナ軍の自作自演であるとか嘘の情報だなどという荒唐無稽な発言をする人もいるくらいだ。
こうしたことに対しても、現地取材の結果を2人に語ってもらう。
なかには、被害者のウクライナ人をバッシングする言動も目立っている。それらの見解に共通するのは、この戦争が圧倒的強者と弱者との間の非対称戦争であることを無視していることと、当事者(ウクライナ人)を無視していることの2つであろう。
大日本帝国と朝鮮半島、アメリカとベトナム、アメリカとイラク、イスラエルとパレスチナと重ねてほしい。
被害者ウクライナの粗探しは、大日本帝国の支配に苦しむ朝鮮の人々による三一独立運動、世界最強のアメリカに侵略されたベトナムやイラクの人々を叩いているのと同じである。
その背景には、教条主義的反米主義が存在し、またロシアのファシズム性とナチズム性を認識できていないことなどが間違いなくある。
このような問題も当日は話される予定だ。
(文=林克明/ジャーナリスト)
■ウクライナ報告会
第一部 ウクライナ現地報告(田中龍作・志葉玲)
第二部 対談(田中龍作・志葉玲・司会林克明)
6月25日(土)18:10開場、18:30開始、20:50終了
場所:文京シビックセンター「スカイホール」
東京メトロ後楽園駅・丸ノ内線(4a・5番出口)南北線(5番出口)徒歩1分
都営地下鉄春日駅三田線・大江戸線(文京シビックセンター連絡口)徒歩1分
JR総武線水道橋駅(東口)徒歩9分
地図 https://www.city.bunkyo.lg.jp/shisetsu/civiccenter/civic.html
資料代 500円
【申し込み】
フルネームと「6月25日参加」と書いて、下記メールアドレスに送信。
kusanomi@notnet.jp