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露メディア”マリウポリ・デマ動画”を赤十字が猛批判

文=Business Journal編集部
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ウクライナでの活動を報告する赤十字国際委員会公式サイト
ウクライナでの活動を報告する赤十字国際委員会公式サイト

「”健康な臓器を持った子供たち”の医療記録を収集していた」

「子どもたちなどに武器使用マニュアルを配布していた」

「微生物を育てるために設計されたふ化器があった」

 ウクライナ戦争に関するロシアメディアの報道のあり方に、疑問と批判の声が上がっている。ロシアのメディアの関係者が赤十字国際委員会(ICRC)ウクライナ・マリウポリ事務所で撮影した動画に、ロシア側などの占領当局者の談話などを交え、冒頭のような説明がつけられていた。あたかも、子どもたちの臓器売買にICRCが関与しているかのようなこの動画に対し、赤十字国際委員会は2日、きわめて強い表現で「悪質なデマ」と批判する声明を出した。

武器マニュアルではなく「地雷被害予防マニュアル」

 ICRCは「現在一部のメディアに出回っている、赤十字国際委員会(ICRC)のマリウポリ事務所で撮影された動画には、私たちの活動に関するデマや根拠のない憶測を多く含む情報が盛り込まれています」と説明し、まず「武器使用マニュアル」について地雷、不発弾の被害を予防するためのマニュアルであることを以下のように指摘した。

「ICRCの活動の主な目的の一つは、武力紛争下で民間人の苦しみを和らげることです。よって、地雷などの爆発性戦争残存物によるリスクについて啓発することに加えて、危険区域を示し、そうした兵器を除去する地元当局を支援することは、多種多様な活動の中でも中核をなす事業です。また、不発弾を適切に識別・処理するために、武器で汚染された地域で暮らす住民に及びうる脅威を説明するマニュアルを作成し、配っています。

 こうしたマニュアルは機密情報ではありません。実際、私たちは配布資料として、オンライン上で多言語で一般公開しています。映像に登場するもう一つのマニュアルは、危険物を無効化する作業に携わるチームが、事故回避のために通常使っているものです」

「子どもたちの医療記録は集めていない」

 また、あたかも生物兵器の用途で使われるかのように、問題の動画などで表現されている「ふ化器」に関して以下のように反論した。

「ICRCは、武力紛争下で経済的に苦しむ人々を対象とした、生計自立支援も実施しています。近年は、当局と完全に透明性を保った上で、養鶏業を営む世帯を支援し、ふ化器を配付しています。こうしたふ化器が別の用途に使われるなどというのは、とんでもない話です」

 また「子どもたちの医療記録」に関しては、次のようにデマであると強く批判した。

「この映像はまた、ICRCが子どもの医療記録を大量に保持しているとしていますが、ICRCはそうした記録を集めてはいません。さらに、ICRCが臓器売買に関与しているとほのめかしてもいますが、これも明らかにデマです」

ICRC報道官「多くの人が一笑に付すと信じている」

 同声明ではICRCのジェイソン・ストラジュ―ソ報道官の談話を以下のように付している。

「ICRCはそもそも、全ての人が人道的な生活が送れるよう力を尽くす組織です。紛争地で活動することは確かに困難が伴いますが、そうした地域で人々の苦しみを和らげることこそが私たちの仕事で、それ以外の何ものでもありません。こうしたデマやニセの情報を目にしたとしても、多くの人が一笑に付すと私たちは信じています」

 ICRC 駐日代表部の広報担当者もこの動画に関し、「本当にショッキングです。あまりの内容の動画に驚愕を超えてあ然としました」と語った。

BusinessJournal編集部

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