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鬼塚眞子「目を背けてはいけないお金のはなし」

日本生命、社内の風通し&意思疎通を劇的改善 「コミュニケーション4」の全貌

文=鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表
日本生命、社内の風通し&意思疎通を劇的改善 「コミュニケーション4」の全貌の画像1
日本生命 人材開発部 輝き推進室室長の宇田優香さん

 コロナ禍でリモートワークが導入され、働き方の選択肢が増えました。その一方で、コミュニケーションが希薄になったとの見方もあります。各企業などで努力をしてはいるものの、続かなかったり、うまくいかないケースも珍しくありません。そんななか、日本生命が独自で考案した「コミュニケーション4」がコミュニケーションの構築に大きな効果を上げ、仕事に活かされているというのです。そこで今回は、同社人材開発部 輝き推進室室長の宇田優香さんに話を聞きました(以下、敬称略)。

――実際に「コミュニケーション4」を経験された社員の参加前と参加後の変化はいかがですか。

宇田 ルールや目的を最初に伝えても、社内の誰も経験したことがないことですので、多少の不安はあったかと思います。しかし、開催後は「お互いを深く知ることで、相談しやすい雰囲気や職場一体感が醸成できた」「相手のバックグラウンドや価値観を知ることが、相手への先入観を取り払うことを実感した」などの前向きなコメントが事務局に数多く寄せられています。「コミュニケーション4」を実施したことで、思わぬ発見もあったと聞いています。

 あるチームが趣味や特技について話していた時に、学生時代のクラブ活動などでお互いに対戦経験があったというケースなどです。当人たちの驚きようは格別だったといいます。それ以降は、よりコミュニケーションが取りやすくなったと報告がありました。こういった何気ない会話から得る新たな発見は、非常に大切だと思います。

――それ以外にも、組織の力につながるような効果はありましたか。

宇田 上司(所属長)サイドからは、コロナ禍で減少したコミュニケーションの重要性を再認識して、開催後も日常場面でも声かけを積極的に行うようになったそうです。その後、部下から相談を持ちかけられるようになったり、逆に上司も部下の様子から相談を持ちかけたりというケースが増えたそうです。当社もコロナ禍ではリモート勤務が主流になった時期もあります。やはりリモートでちょっとした相談をしづらいと思う社員も一定数いると思います。そうした壁を取っ払うというのでしょうか、職場全体の雰囲気がコミュニケーション促進を通じた、リーダー(所属長)主導のかっ達な職場風土の醸成にもつながっています。 

――開催後に浮き彫りになった課題はありますか。

宇田 開催後の意識調査は事務局が行っていますが、各所属には年5回以上を推奨しているものの、やはり開催回数にばらつきが発生することです。各所属の課題性に応じ、柔軟にテーマを設定してもらい実施することで、コミュニケーションが円滑になり、業務にいい影響が出たという実例も多々報告されています。回数に比例して、こうした傾向が見られます。これまで実施回数の強制はしていませんが、全社的な均衡を図ることが組織力につながると考えています。職員や所属長や部署としての声を全社的に発信していくことで、コミュニケーションの重要性を伝えていければと考えています。そこで、コミュニケーション促進取り組みの優先順位を上げていく仕組みを推進していく予定です。

優先順位を上げる仕組み

――「コミュニケーション4」でアワード運営を活用されているのは、優先順位を上げる仕組みですか。

宇田 はい、あくまでもコミュニケーションの重要性を伝えていくための仕組みの一つになります。アワードは、人財価値向上プロジェクトにおける各種取り組みについて所属の実施状況をポイント化して、その合計ポイントに応じて、ゴールド・シルバー・ブロンズの3区分をし、認定を行っています。今年度の「コミュニケーション4」は、年間5回実施することがポイントの獲得条件となっています。

 ちなみにリーダーの役割は「コミュニケーション4」の人選や当日の司会進行だけではなく、こうした「人カチ(価値)アワード」の各種取り組みの推進を担当する人が「人カチ推進リーダー」なのです。リーダー以外に「補佐」も任命して、人カチ推進リーダー・補佐を中心として、各所属に合わせた運営を実施しています。

――「コミュニケーション4」は、特に費用や設備投資も必要ないように思いますが、いかがですか。

宇田 そうです。飲み物などを飲みながらリラックスして参加できるよう、事務局からは1人あたり年間1,000円を各所属に付与していますが、それ以外の費用や設備投資はかかりません。しかも、仕事だけではなく、日常でもプライベートでも活かすことができると思います。

誰もが主役になれる場所

――人材育成に悩む企業のなかには、すぐに真似てみたいと考える企業もあるかと思います。何かアドバイスはありますか。

宇田 何より申し上げたいのは、「コミュニケーション4」は誰もが主役になれる場所であるということです。繰り返しになりますが、「コミュニケーション4」で重視しているポイントは組織の縦・横・斜めのコミュニケーションです。人はそれぞれ違うのが大前提であり、多様な価値観を認め合うきっかけを作ることにより、一人ひとりが、よりやりがいを持って働く環境を作ることが大切だと考えています。こうした意識を参加者全員で共有することが大切ではないでしょうか。

――コロナが終息しても「コミュニケーション4」は継続していくのでしょうか。

宇田 各職場から業務に良い影響が出たとの報告があがってきているので、コロナが終息しても継続していく方向です。人生100年時代といわれています。お客さまの100年の人生を支えるために、社員もサスティナブルな成長をしていくことは重要だと受け止めています。そのためには人材育成を抜きにして語れません。コミュニケーションは人間関係の基本です。それに真摯に向き合うことは、同時にダイバーシティと向き合うことであり、「コミュニケーション4」はその実現方法ではないかと思っています。

 当社は「共存共栄」「相互扶助」を使命として130年以上やってきました。社内の縦・横・斜めのコミュニケーションを活性化し、多様な人材が多彩に活躍し、持続的に成長し、組織の力につなげることが、ひいてはお客さまとの「共存共栄」「相互扶助」のために活躍できる人材になると受け止めています。

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

鬼塚眞子/ジャーナリスト、一般社団法人介護相続コンシェルジュ協会代表

出版社勤務後、出産を機に専業主婦に。10年間のブランク後、保険会社のカスタマーサービス職員になるも、両足のケガを機に退職。業界紙の記者に転職。その後、保険ジャーナリスト・ファイナンシャルプランナーとして独立。両親の遠距離介護をきっかけに(社)介護相続コンシェルジュを設立。企業の従業員の生活や人生にかかるセミナーや相談業務を担当。テレビ・ラジオ・新聞・雑誌などで活躍
介護相続コンシェルジュ協会HP

Twitter:@kscegao

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