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「若者はLINEも使わない。スタンプは古臭い」は本当か…気軽なインスタDMに好感

文=A4studio、協力=坂本翔/株式会社ROC 代表取締役
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LINEのHPより

 4月23日、ラジオ番組『有吉弘行のSUNDAY NIGHTDREAMER』(JFN)の放送内で、若い世代の間でLINEの利用率が下がっているらしいという話題が持ち上がり、注目を集めた。

「この前ニュース見てたら、若い子はスタンプも使わないらしいし『LINEもイヤだ』って言ってて。インスタとかTikTokのDMで送ると楽なんだって。もう、そういう時代なんだよね。若い子はLINEも『おじさんだな』って思ってるらしいよ」(有吉)

 LINEといえば、老若男女問わずに日本で広く普及している印象だが、そんなLINEが今、若者の間で飽きられているという事実は本当にあるのだろうか。そこで今回は、大手企業や著名人のSNSコンサルティングを行う株式会社ROCの代表・坂本翔氏に、実際にこうした現象は起きているのか、その理由はどこにあるのかを聞いた。

確かにSNSのDM利用は増加傾向にある

「当たっている部分と的外れな部分の両方があると思います。まず、NTTドコモモバイル社会研究所がスマホ・ケータイを所有している15歳から79歳までの男女、6559人にアンケートをとったところ、LINEの普及率は2023年1月時点で87.3%にまで上っており、20年ごろからこうした数値がほぼ横ばいを記録しています。

 この数字は若者だけでなく全年代をフォローしたデータではありますが、日本でのLINEの普及率は他のSNSを圧倒しているのは間違いありません。ですから『若者のLINE離れが進んでいる』というよりは、『若者はLINEを引き続き利用している一方で、InstagramやTikTokのDMを通してやり取りする場面も増えてきた』というのが、実態に即した言い方になるのではないでしょうか」(坂本氏)

 こうした動きが顕著になってきたのは、どういった理由からなのだろう。

「InstagramやTikTokが持つコンテンツ性が大きく影響しているように思えます。若い人々は写真や動画で日々の出来事をつづり、面白いと思ったアイデアをそこで披露するかたちで、日々コンテンツを生み出しているわけです。そしてDMであればそこで目に留まったコンテンツの話題をフックに、『こんなところに行ったんだ』とか『そのネタおもしろいね』といった具合にシームレスに会話が始められるのです。

 こういったDMのやりとりのおもしろいところは、実際には会ったことのない『ネット上の知り合い』や『実生活では疎遠気味だけどネットを介して近況を知る知り合い』という、微妙な距離感の人たちとも気軽に会話できる部分にもあるでしょう。若い層は身の回りにSNSを介したコンテンツが溢れており、コンテンツを発信する人と消費する人の間に、旧来ほど明確な線引きがないように思えます。つまり、発信の場であり交流の場でもあるわけです。そこにクローズドな連絡手段であるDM機能が備わっていれば、わざわざLINEを使わないのでしょう」(同)

 確かに、連絡を取りたい相手がコンテンツを発信しているSNSのほうが、会話しやすい側面があるのは納得だ。ほかにも理由はあるという。

「コロナ禍に突入してしまったことが、SNSのDMでのやりとりの普及に拍車をかけた部分があると思います。というのも、LINEというのは直接相手と連絡先を交換することで交流の輪を広げていくツールですが、そうした接触の場が閉ざされてしまったことで、利用をやめはしないものの、別のSNSを使う場面が増えたというのは想像に難くないです」(同)

「若い子はもうスタンプも使わない」ともいわれるが、これについてはどうなのか。

「当然、使う子もいるでしょうが、使いたがらない子も増えてきたかもしれません。私のような30代やその上の40代、50代などからすると、定型文とセットになったイラストをボタンひとつで送れるLINEのスタンプ機能は非常に便利で、気心知れた間柄との連絡では、これだけで会話を済ませてしまうことも少なくありません。

 若い世代もかつてはこうした傾向が強かったですが、その便利さが中年世代の間でも広く使われるようになると、逆にスタンプを使うことが古臭いと感じてしまった可能性はあるでしょう。自分たちが編み出した文化に大人が入ってきてしまうと興ざめしてしまう心理は理解できなくもないです」(同)

それでもLINEが廃れない納得の理由

 こうしたコンテンツ系SNS内でのやりとりが活発化する一方で、LINEがいまだに廃れないのにはどういった理由があるのかが気になるところだ。

「SNS文化が全盛になる前までは、ケータイのSMS(ショート・メッセージ・サービス)で文面のやり取りをし、電話で音声でのやりとりを行っていましたが、ここ十数年ほどはこうしたケータイ電話が担っていた役割をそのままLINEが担うようになった感があります。そうなると、LINEを利用するということがイコール知り合いの連絡先を保存しておくことにつながるわけです。SMSと電話と電話帳のすべてがLINEに置き代わっている。となると、いくら日々の場面ではInstagramやTikTokを介して連絡していても、LINEを利用しなくなるという選択肢はまず起きないのではないでしょうか。

 また、特段コンテンツを介さなくても会話が弾む家族や恋人などとの間では、若い世代も活発にLINEも利用していると思います。目的がなくても会話が生まれやすいInstagramやTikTokと、目的があって会話をするときに使われるLINEは、うまく線引きができていると感じます」(同)

 では、今後LINEを含むメッセージアプリの流行はどう変化していくのか。

「先ほども述べたとおり、若者の間ではLINEは引き続き利用されつつも、日常のコンテンツを介した会話はInstagramやTikTokになるという傾向が今後も強まっていくでしょう。中高年の世代でいえば、LINEは電話やメールに代わる存在として、強固な存在感を示していくでしょう。連絡先を再構築するという手間がある以上、今後LINEに替わる新たなメッセージアプリが台頭することは考えにくいですからね。また、コンテンツを発信することへのハードルは中高年層にはまだまだ高いでしょうから、中高年層がInstagramやTikTokといったSNSのDMに流れていくこともまずないと思います」(同)

(文=A4studio、協力=坂本翔/株式会社ROC 代表取締役)

坂本翔/株式会社ROC 代表取締役

坂本翔/株式会社ROC 代表取締役

1990年生。23歳で兵庫県内最年少の行政書士として起業。自身の集客実績をもとに、25 歳でSNS専門書を出版。SNS 活用を伝えるセミナーや企業内のSNS 研修など年間50 本以上の講演をこなす。著書に「Instagramでビジネスを変える最強の思考法(技術評論社)」などがある。
株式会社ROC

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