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JR京葉線、ラッシュ時の快速を廃止→全て各駅停車に…「悪夢の改悪」悲鳴続出

文=Business Journal編集部、協力=梅原淳/鉄道ジャーナリスト
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JR京葉線の車両(「Wikipedia」より/MaedaAkihiko

 JR東日本は15日、ダイヤ改正によって2024年3月16日から京葉線の快速列車を朝夕夜間帯は各駅停車に変更し、通勤快速を廃止すると発表した。快速の運転は10~15時台の約5時間のみとなり、平日の快速の運転本数は現行(59本)の半分以下の24本になる。この発表を受けSNS上では「もう京葉線経由では通勤出来ない」「通勤に何時間かかるのよ」「不便とかいうレベルじゃない」「遠距離通勤者にとっては悪夢の改悪」「外房線ユーザーにとっては死活問題」などと悲鳴にも似た声が続出する事態となっている。今回の京葉線ダイヤ改正の理由は何か、また利用者のメリットとデメリットは何か。業界関係者の声も交えて追ってみたい。

 葛西臨海公園駅、東京ディズニーランドの最寄り駅である舞浜駅、ZOZOマリンスタジアムや幕張メッセの最寄り駅である海浜幕張駅などを擁するJR京葉線。下りの始発駅である東京駅のホームが、JR山手線をはじめ他の路線のホームからかなり離れていることや、下り方面でみると検見川浜駅より先の駅は日中は1時間に4本ほどしか運転していないことなどがしばしば話題になるなど、何かと個性的な路線でもある。

「東京ディズニーランド目当てで地方から来た人が、新幹線やJR山手線の東京駅のホームから京葉線にホームへ行くルートがわからず右往左往するという光景はお決まり。今では羽田空港からディズニーランドに隣接するヒルトン東京ベイ行きのバスが出ており、乗り換えなしで30分ほどで着き便利なので、そっちのほうを使う人も増えつつある」(鉄道会社関係者)

 そんな京葉線だが、今回発表されたダイヤ改正により、通勤ラッシュ時間帯の朝・夕方・夜は快速と通勤快速が廃止されすべて各駅停車となる。これにより、蘇我-東京間は朝は平均14分、夕夜間帯は平均19分ほど所要時間が延びる。一日当たりの快速の運転本数(上下計)は平日が59本から24本に、土休日は89本から47本に減ることになる。この発表を受け、SNS上では次のような声が寄せられている。

<これ、外房、内房から東京方面へ通勤の人たち、大打撃では>

<蘇我以遠の京葉線ユーザーの気持ち考えてるのかね千葉支社さんよ 総武快速使えばいいって話じゃないんですよ>

<通快始発とかでマンション家買っちゃった人どうするんだろ>

<80年代に複々線化に取り組んでおくべきだった>

<千葉から東京までの総武線快速が混雑する>

<この影響で総武快速の混雑悪化にも?>

<横須賀・総武快速線や他の並行私鉄線の利用者増加のための施策にしか思えない>

 一方、京葉線の快速通過駅の一日当たりの乗車可能回数は平日が31~32回、土日が39~42回増加になり、これらの駅を利用する人はメリットを得ることになる。

最大の目的はコスト削減か

 JR東は今回のダイヤ改正の目的について、通勤時間帯の快速電車の混雑状態を緩和することで利便性向上を図るためだとしているが、鉄道関係者はいう。

「複々線化されていない、または一部しかされていない路線では、朝のラッシュ時に各駅停車も快速も速さに大した差がなくなるというケースは珍しくない。それにもかかわらず駅で快速を先に通すために各駅停車を待たせなければならないなどオペレーション上の手間が発生するので、『だったら全部、各駅停車にしてしまおう』ということになる。オペレーション負荷の削減は実質的にはコスト削減につながるし、各駅停車・快速・通勤快速をあわせたトータルの運行本数でみると減少となるので、本音としての目的はコスト削減だろう。京葉線はコロナ前から乗客数が2割以上減ったままなので、それに合わせて本数を減らしましょうということでは。

 朝の時間帯は快速がなくなって各駅停車になると蘇我-東京間が平均14分長くなるとのことだが、朝の14分は短いようで長い。出勤前に小さい子どもを保育園に連れて行く家庭だと毎朝、今までより20分ほど早く起床しなければならなくなるケースも出てくる。『快速が止まるから』という理由でマンションや戸建て住宅を買った人は怒るだろうが、これまで快速が止まらなかった駅を利用する人は本数が増えるので純粋に嬉しい話。メリットを得る人とデメリットを被る人が生じるのは仕方ないが、現状すでにラッシュ時には混雑のせいで快速も各駅停車も速さに大きな差がなくなっているのだとすれば、トータルでみると大きな影響は出ないという結果になるのかもしれない」

通勤快速・快速を削らざるを得なかった?

 鉄道ジャーナリストの梅原淳氏はいう。

「2つの理由が考えられます。一つは朝夕のラッシュ時に通勤快速・快速の人気、特に停車駅の少ない通勤快速に人気があり、各駅停車との混雑度に著しく違いがあるからです。本来でしたら、通勤快速・快速を増発すればよいのでしょうが、そうしますと通勤快速が停車しない駅に停車する各駅停車の本数を減らさざるを得ず、通勤快速や快速を廃止とすることで人気の差をなくして均等に列車に乗ってもらおうとしたといえます。もう一つの理由は、沿線の住宅開発などによって各駅停車しか停車しない駅の利用者が増え、各駅停車の増発も求められたからだと考えられます。どちらの理由であっても、駅への待避線の新設といった大規模な設備投資を行わないで各駅停車を増発するには通勤快速・快速を削らざるを得ず、今回のような変更となったといえます」

 このダイヤ変更は、利用者にとってメリット、デメリットのどちらのほうが大きいのか。

「通勤快速・快速の利用者、それから東京-蘇我間を通して利用する人や内房線・外房線に直通して長距離を利用する人にとってはデメリット、各駅停車しか停車しない駅や近距離の利用者にとってはメリットがあると思います。どちらからというとデメリットのほうが大きいでしょう」(梅原氏)

 朝夕の時間帯に快速や通勤快速を廃止するという動きは今後、他の路線でも広まっていくと考えられるのか。

「現在快速が運行されている南武線では1970年代に川崎-登戸間に快速がありましたが、いったん1978年に廃止となり、その後復活して今に至るというように、概して快速は新たに増えるケースがこれまではほとんどでした。そのようななか、京葉線での動向は新しい考え方といえます。各駅停車しか停車しない駅の利用者が増えたり、利用動向から長距離ではなく短距離の利用者が多いという路線では、京葉線のような動きはまだ広まりつつありませんが、今後は増えていくかもしれません」(梅原氏)

(文=Business Journal編集部、協力=梅原淳/鉄道ジャーナリスト)

梅原淳/鉄道ジャーナリスト

梅原淳/鉄道ジャーナリスト

1965(昭和40)年生まれ。大学卒業後、三井銀行(現在の三井住友銀行)に入行し、交友社月刊「鉄道ファン」編集部などを経て2000年に鉄道ジャーナリストとして活動を開始する。『新幹線を運行する技術』(SBクリエイティブ)、『JRは生き残れるのか』(洋泉社)、『電車たちの「第二の人生」』(交通新聞社)をはじめ著書多数。また、雑誌やWEB媒体への寄稿のほか、講義・講演やテレビ・ラジオ・新聞等での解説、コメントも行っており、NHKラジオ第1の「子ども科学電話相談」では鉄道部門の回答者も務める。
http://www.umehara-train.com/

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