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「7千万円の戸建住宅の住宅ローン審査に落ちた→すでに着工済」はあり得るのか

文=渡辺雅史/ライター、協力=長谷川高/長谷川不動産経済社代表
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「gettyimages」より

 庶民にとって、人生のなかで一番大きな借金といっても過言ではないのが住宅ローンだろう。平均返済年数が30〜35年といわれる長期にわたる借金は、人生を大きく左右するものだ。そんな住宅ローンに関するSNS上の投稿が話題となっている。7000万円の戸建住宅を建てようと住宅ローンを申し込み、仮審査までは通ったものの本審査で落ちてしまったが、メーカーがすでに着工してしまっていたという投稿だ。この投稿に対し

<まだ審査通ってないのにメーカーが着工するとか常識的にありえない>

<本審査通らないと着工しない>

といった反応もみられるが、このような仮審査が通った段階で着工されるという事態はありえるのか。そして現在の住宅ローン事情はどうなっているのか。不動産コンサルタントで長谷川不動産経済社代表の長谷川高氏に聞いた。

住宅ローン動向の現状

――まず、現在の住宅ローンの動向について教えてください。

「住宅ローンには固定金利のものと変動金利のものがあります。現在は固定金利が平均で年1%ほど、変動金利が年0.6〜0.7%ほど。そのため8割ほどの方が変動金利のものを利用しているといわれています。現在の固定金利と変動金利の差は年0.3〜0.4%ですが、数千万円という借入金額と20〜30年という返済期間を考えると、わずかな利率の差でも大きな金額になります」

――変動金利は固定金利よりもリスクが高いのでは。

「最近は10年ものの国債の金利が少しずつ上がっている。そのため変動金利の利率も上がるのではという警戒感がありますが、変動金利の利率は短期金利に連動します。これを現在、日銀はマイナス金利政策を実施していますので、いまだに低いまま維持されています。ただ、昨年就任した日銀の植田和男総裁が、前の総裁時代から続くマイナス金利を解除して金利を上げる方向へ舵を切れば変動金利は上昇することになります。今はまだ上がっていませんが将来的にはわからない。今年中に上がる可能性もありえます。とはいえ、急激な方向転換は社会に大きな影響がありますから、変動金利の利率が急激に上昇していくことは短期的には考えにくいといえます。

 予想は難しいですが、変動金利で住宅ローンを組んでいる方は、今年の日銀の動向は注視したほうがいいです。特にマイナス金利が解除されるかどうかに注目してください。今の金利は底といわれる状態なので、これ以上下がることはありませんが、徐々にではあるでしょうが、いつ上がってもおかしくありません」

――これから住宅ローンを組もうという方も変動金利のほうがいいですか。

「固定金利、変動金利については借りる時の状況で変わるので、オススメというのはありませんが、5年先、10年先のリスクをどう考えるかだと思います。現在50歳以上の世代は住宅ローン金利が高い時代の記憶が鮮明ですから、将来のリスクヘッジとして固定金利を選ぶのではないでしょうか。

 また、借りる額についてですが、お金を貸す側の金融期間では『無理なく返済できるローンの支払い額は収入の20〜25%』といったことが長い間常識とされてきました。銀行はお金を貸して利益を得るのが仕事。20年、30年と長期にわたり返済する住宅ローンは安定して収益が得られるビジネスです。だからこそ確実に返済できるラインを見極めてお金を貸したい。よって以前より金融機関が指標とする返済率が収入の20〜25%です。ですので、借りる際はこの数字を基準に考えましょう。返済プランがこの数字を超えるようであれば、購入する住宅をより低廉な価格にものに変更するか、少し時期をずらして頭金を貯めて、収入の20〜25%で返済できる額を借りましょう。返済期間中には失業、転職、家族の病気などの想定外のことも起こります。安易に『今が買い時』と考えないで、じっくり検討してほしいです。

 やはり、人生は何が起こるかわからない。住宅ローンで生活がいっぱいいっぱいになると、子供の教育費や自分のキャリアアップのことなど、人生の岐路でお金が必要な状況となった時に選択肢が狭まってしまいます。また万が一にも生活が破綻することは避けるべきですし、金銭的に少し余裕のできる返済プランを考えたほうがいいでしょう」

住宅ローン審査が通ってから工事を始めるというのが常識

――では、住宅ローンの審査が通る前にメーカーが着工してしまうという事態はあり得るのでしょうか。

「話の真偽についてはよくわかりませんが、大手建設会社やハウスメーカーが一般的な住宅購入者と請負契約を締結するときには、『住宅ローン特約』というローンが通らない場合は白紙解約できる旨の特約をつけるのが一般的です。建設会社も、当然ながら顧客のローン審査が通らない場合に代金が支払われないというトラブルを避けたいので、しっかり審査が通って融資が決まってから工事を始めるというのが業界的には常識です。詳しいことはわかりませんが、SNSの投稿が事実であれば、形式的には弁護士を入れて話し合いをしないと解決できないことかもしれません」

 起こってしまった出来事のインパクトが大きかったことはもちろんだが、SNSでここまで話題となった背景には、住宅ローンに関心を持つ人が多いというのも大きな要素だろう。大金を借りて長期にわたり返済する住宅ローンは、人生の方向性がある程度定まるという側面を持つ。考えすぎるということはないので、借り入れの際はじっくり検討していただきたい。

(文=渡辺雅史/ライター、協力=長谷川高/長谷川不動産経済社代表)

長谷川高/長谷川不動産経済社代表

長谷川高/長谷川不動産経済社代表

東京生まれ。立教大学経済学部経済学科卒。
大手デベロッパーにて、ビル・マンション企画開発事業、都市開発事業に携わり、バブルの絶頂期からその崩壊と処理までを現場の第一線で体験。 1996年に独立。
以来、創業から一貫して顧客(法人・個人)の立場で不動産と不動産投資に関するコンサルティング、投資顧問業務を行う。また、取引先企業と連携して大型の共同プロジェクトを数多く手掛ける。
自身も現役の不動産プレイヤーかつ投資家として、評論家ではなく現場と実践にこだわり続ける一方で、メディアへの出演や執筆、講演活動を通じて、難解な不動産の市況や不動産の購入・投資術をわかりやすく解説している。
長谷川不動産経済社

Twitter:@hasekei8888

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