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中村芳子「お金のことで苦労せず、人生を楽しむためのお金の基本」

車にかかる年間費用100万円超…車を手放せばお金が貯まる

文=中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー
車にかかる年間費用100万円超…車を手放せばお金が貯まるの画像1「Thinkstock」より

 ここしばらく投資について話してきたが、今回はお金の基本に戻ったテーマでお話ししたい。というのは、もちろん投資も大事だが、長くお金の相談を受けていて気づいたのは、多くの人がそれ以前のお金の土台、基本の基本がわからないままで困っているということ。今日はその部分について扱っていきたい。

お金を貯めたい! でも貯められない! 原因は?

車にかかる年間費用100万円超…車を手放せばお金が貯まるの画像2『20代のいま、やっておくべきお金のこと』(中村芳子/ダイヤモンド社)

 誰だって「お金を貯めたい」と思ってる。お金があれば、あれが買える、これもできる、あそこに行ける。では、昨年1年でどのくらい貯まったかな? 1年前と今の通帳の残高を比べて、いったいいくら増えたか、いくら貯めたか、ぜひチェックしてほしい。

 先日相談に来られた30代のカップル。3年前に子どもが生まれてすぐ、地方都市から東京へ転職。給料は上がったのに全然貯金ができない。原因がわからないから、どうしたらいいのか、という相談だった。

 簡単な家計支出の記録を見せてもらったが、特別な無駄遣いは見つからない。うーん、どれかな。あ、あった、コレだ!

 2人は車を持っていた。彼の仕事でちょっとした荷物を運ぶことがあり、小さい子どももいるし、車があると便利。地方都市で暮らしていた彼らには、車は生活に欠かせないものだった。ところが、住居費の高い東京で車を持つのは簡単ではない。以前は駐車場代込みで5万円だった家賃が、東京では前より狭いアパートが月10万円弱(駐車場代込み)と約2倍に。23区外なので家賃は都内ではかなり安いほうだ。ただし、車そのものの維持費は変わらなくても、出かけたときの高速代や駐車場代が、以前よりずっとかさむようになっている。

 試しに、車にかかる年間費用をざっと計算してもらったら、約60万円だった。

車にかかる年間費用100万円超…車を手放せばお金が貯まるの画像3

 ここには、買い替えの費用は含まない。6年後に買い替えに150万円かけるなら、これに年25万円をプラス。車にかかる費用はトータルで年84万円超となる。おわかりのように駐車場代が高ければ、車にかかる費用は軽く年100万円を超えてしまう。

かかるお金を年間で考える

「東京に越しても駐車場が月1万円だから、車は持ち続けられるはず」というのが、この夫婦の考えだった。しかし、こうやって年間費用を洗い出してみて、実に月5万円かかっていたことがわかった。2人ともびっくり。

 こんなふうに無駄遣いをみつける方法のひとつは、支出を年間で見ること。

・スマートフォンに購入費の分割払い分も含めて月1万5000円払っている:年間18万円
・生命保険料を月2万5000円払っている:年間30万円
・飲み代に月5万円使っている:年間60万円
・服や靴やバッグに月4万円使っている:年間約50万円

 その金額に自分で納得していればよいが、「えー、こんなに!」と驚いて、「こんなに払う価値あるかな」「いくらなんでも多すぎる」と思うなら、絶対にその出費は見直したほうがいい。

中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

中村芳子/アルファアンドアソシエイツ代表、ファイナンシャルプランナー

1985年よりFP業に携わる日本のFPの草分け。 女性FP協会(現WAFP関東)の設立者の一人、初代理事長。 1991年に会社を設立。パーソナル・コンサルティング、金融記事の執筆、金融企画のアドバイスなどを行っている。マネックス証券創業時より7年間アドバイザーをつとめる。みずほ銀行の夫婦向けマネーサイト「おうちのおかね」(2010―2016)を監修。辛口だが、お金だけにとらわれないユニークで温かいアドバイスが人気。


主な著書に『50代のいま、やっておくべきお金のこと』『20代のいま、やっておくべきお金のこと』(以上ダイヤモンド社) 『女性が28歳までに知っておきたいお金の貯め方』(三笠書房) などがある。『3日でわかる聖書』『養子でわくわく家族』『神の津波』など、お金以外の著書や翻訳もある。

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