「社長が選ぶ 今年の社長」は同大学が2008年から行っているインターネット調査で、従業員10人以上の企業経営者を対象に、その年の最優秀経営者を尋ねてまとめている。今年は559人の経営者を対象に行われ、471人から有効回答を得た。
1位になった孫氏は171票を獲得、その理由として挙げられたのは、「常に時代をリードしている」「チャレンジスピリッツに溢れている」「企業買収・新規投資・新規分野への進出」「世界的規模の投資など先見の明」などであり、アリババへの投資やソーラー発電など積極的な事業展開が評価されたようだ。
2位は124票でトヨタ自動車の豊田章男氏が選ばれ、2年連続3回目の2位となった。3位はファーストリテイリングの柳井正氏で30票。前年7位からのランクアップとなったが、実は柳井氏は08年、09年と1位になっており、孫氏に次いで1位回数が多い。一方、豊田氏は2位に3回も輝いているにもかかわらず、1位になったことがない。
柳井氏が選ばれた理由では、「斬新な発想とビジョンがある」「グローバル化」「海外戦略」などが挙げられている。同氏が孫氏と同様に積極的な事業展開を評価されている一方、豊田氏は「名実ともに日本一の企業」「過去最高益の更新」など世界的企業を率いていることを前提とした評価になっているようだ。
●USJ、アリババ…5人の社長が初ランクイン
日本企業や日本人経営者のみならず、外国企業・外国人経営者もベスト10以内に選ばれており、アップルのティム・クック氏が4位だった。同氏は13年に6位、12年にも5位に名を連ねており、アップルは時代の最先端を行く携帯端末の開発により、日本でも認知度の高い企業となっている。
このほかには、新施設のオープンにより、入場者数が過去最高を更新したユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のグレン・ガンペル氏が5位に、大型上場を果たしたオンラインマーケット運営企業、アリババのジャック・マー氏が9位に選ばれている。両氏とも、初めてのベスト10入りとなった。
外国人経営者の過去最高位は、アップルのスティーブ・ジョブズ氏の2位(11年)。ちなみにジョブズ氏は10年にも4位に選ばれている。また、日産自動車のカルロス・ゴーン氏は9年に10位、10年に9位、11年に6位と、ティム・クック氏同様に3度のベスト10入りを果たしている。
今年はガンペル氏、マー氏のほか、3人の日本人経営者も初選出された。5位に経営手腕を見込まれてサントリーホールディングスの社長に就任した新浪剛史氏、9位に環境性能に優れたディーゼルエンジン車を世に送り出したマツダの小飼雅道氏、同じく9位には新薬の開発が注目を集めている富士フイルムの古森重隆氏が入った。
この「社長が選ぶ 今年の社長」に選ばれる経営者は、世相を反映している。数年前まで常連だった企業が姿を消し、新たな企業が台頭してくる。同じ経営者が数年間選ばれることもあれば、経営者が代わっても同企業から選ばれるケースもある。いずれにしても、それらの経営者は、その時々に話題となった企業であることに違いはない。
来年は、どのような経営者が選ばれるのだろうか。
(文=鷲尾香一/ジャーナリスト)