シャープ、その本当の危機 孕む暴走の芽 恐らく再建は難しいといえる3つの異常点
(2)については、固定費とは一般的に「贅肉」だと捉えられがちだが、固定費の本質はビジネスプロセスの維持費である。したがって、固定費削減では企業を生き返らすほどの付加価値はもたらされないし、さんざんリストラした挙げ句のさらなるリストラは収益力低下のリスクが大きい。
そして(3)だが、これまでと同じ経営トップで、「組織・ガバナンスの再編・強化」が可能なのだろうか、疑問が残る。
「いかなる分野を優先すべきか、初めにいかなる分野を削減し、かつどこまで削減すべきか、初めにいかなる分野を拡大し、かつどこまで拡大するかについて検討したうえで、意思決定を行う必要がある。そして、近い将来の成果のために遠い将来の成果についていかなるリスクを冒し、遠い将来の成果のために近い将来についていかなる犠牲を払うかを十分理解したうえで、意思決定を行わなければならない」(『現代の経営』<ドラッカー/ダイヤモンド社>)
公表された事業計画は、経営者が自らの命をかけて徹底的に練られたものだろうか。もしそうでなければ、名門シャープの復活は厳しいといわざるを得ない。
(文=林總/公認会計士、ビジネスコンサルタント)