経営者(=社長やCEO<最高経営責任者>のこと。広義に、代表権のある取締役と捉えてもいい)になれるかどうかは、生まれ持った才能と積み重ねた努力、そしてその時の運によります。しかしながら、経営者のように考え、振る舞い、行動することは、誰にでもまねできるのではないでしょうか。
一般社員の立場から見ると、経営者も管理者(=課長や部長、本部長のこと。組織の中の一部機能を担っている)も偉い立場で、管理者の延長線上に経営者がいるように見えます。
また、経営者は雲の上の存在で、話をする機会はめったにありません。一方、部課長などの管理者は比較的身近な存在です。しかし、すべての管理者が経営者になれるわけではありません。経営者のように考え、行動している管理者は決して多くないのです。
組織の中で有意義なキャリアを形成するには、3つのパターンがあります。ひとつは、幸運にも経営者のように考える管理者が身近にいることです。もうひとつは、そうではない管理者を反面教師にすること。最後のひとつは、本物の経営者と出会い接点を持つことです。
やや大仰な物言いですが、経営者はその組織にいるすべての従業員および家族の人生を預かっています。この点で、経営者と管理者はまったく異なります。管理者は、組織の中の分業された一部機能を担っているにすぎません。
京セラの創業者である稲盛和夫氏は、「人生や仕事で成功するためには、能力と熱意と考え方の3つが必要で、最後の考え方が最も大事である」と説いています。また、「経営者は心の土壌を整理して正しい判断ができるように努めることが肝要だ」とも言っています。
ここで、冒頭のチャートをご覧ください。このチャートは、思考したことが発言につながり、さらに行動に移されるまでには高いハードルを乗り越えなければならないこと、そしてそれに必要なエネルギーは膨大であることを示しています。
稲盛氏が説くように、本物の経営者のように考えることが大前提です。そして、それを行動に変えていくためには、多くの努力を要します。もし、大前提となる考え方が間違っていたら大変です。費やした努力が、水泡に帰してしまいます。