ココカラの魅力は調剤部門
08年、ココカラは関東のセイジョーと関西のセガミディスクが経営統合して発足した。ココロとカラダを元気(ファイン)にしたいという願いを込めて、社名をココカラファインとした。その後、ジップドラッグやライフォートなどを傘下に収め、一時は業界3位に浮上したが、現在は7位に後退した。傘下に収めた企業とのシナジー効果を発揮できていないとの指摘がある。
ココカラの最大の魅力は調剤部門にある。スマートフォンのアプリには、「お薬手帳アプリ」と連動させ服用した薬の記録がすぐにわかる機能が備わっている。19年3月末時点で会員カードの稼働数は726万人、スマホアプリのダウンロード数は112万人に達する。
調剤部門の19年3月期の売上高は18年同期比7%増の587億円、売上総利益は同3%増の227億円。調剤部門の売上高は全社売上の16%だが、売上総利益率が38.7%と高く、他部門の収益力の低さを補っている。
20年3月期の全社売り上げは19年同期比2%増の4090億円、営業利益は同4%増の135億円の見込み。調剤部門はM&Aの強化で拠点数を304店に増やしたことから、売上高は同5%増の616億円を計画している。
スギHDの中核のスギ薬局は、病院の処方箋に対応できる調剤併設型ドラッグストアが売りだ。マツモトキヨシHDは化粧品の売り上げ比率が高く、顧客は外国人が多い。プライベートブランド(PB)も豊富だ。調剤部門への出遅れを取り戻すため「健康サポート薬局」に力を入れている。
両社が狙うのは、ココカラの調剤事業だろう。
オーナー企業がオーナー色の薄いココカラを狙った
ココカラはオーナー色が薄く、経営統合がしやすい相手だとみられていた。ココカラの塚本厚志社長はセイジョー出身。統合したセガミメディスクの創業家の資産管理会社セガミ不動産の持ち株比率は3.28%で、第5位の株主にとどまる。信託口、自社保有、従業員持株会が上位を占める。
これに対してマツモトキヨシHDとスギHDはオーナー色が強い。マツモトキヨシHDの松本清雄社長は創業者の孫で、株主には一族が名を連ねる。
スギHDは、創業者である杉浦広一会長のオーナー企業だ。一族の資産管理会社のスギ商事が32.54%を保有する筆頭株主。スギHD副社長で、事業会社・スギ薬局社長の杉浦克典氏は広一氏の長男で、次期社長の本命である。スギHDがココカラとの統合に成功すれば、これを花道に克典氏が父親から経営を引き継ぐことになるとみられる。