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ところが、日本では社外取締役の3割が取引先金融機関などの利害関係者である場合が少なくない。社外取締役の利害が介在すれば、判断の適正さに問題が生じる。取締役の多様性を重視するため、文化人や元スポーツ選手を起用する例も目立つ。「外部の目」を社内に取り込もうという意図はわかるが、著名人だというだけで起用し、役割を果たすことができるのか。
ましてや、トップの“お友達”や人脈の中から選ばれた社外取締役だとしたら、果たしてトップに耳の痛い直言ができるだろうか。経営者のクビを切ることは、とんと期待できないだろう。
いや、それ以前に、わが国に社外取締役にふさわしい人材がどれだけいるかという問題もある。それを裏づけるかのように、社外取締役争奪戦が起きている。上場企業のトップ経営者や実務がわかる経営者OBは、引く手あまただ。現に、数社の社外取締役を兼任するケースも出てきている。
東芝の不適切会計問題を受けて、金融庁は8月7日、コーポレートガバナンスのあり方や機関投資家の行動指針を議論、提言する有識者会議を、東京証券取引所と共同で設置すると発表した。その狙いは、コーポレートガバナンス体制の整備を一段と進め、同様の問題の再発防止につなげることだ。
今年は「コーポレートガバナンス元年」と目されており、企業のガバナンス改革への期待が高まっている。かたちだけではなく、社外取締役をどう生かして企業の「稼ぐ力」を高めるのか。私たちはもっともっと、知恵をしぼらなければいけない。
(文=片山修/経済ジャーナリスト、経営評論家)
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