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メルカリに鹿島アントラーズがたった16億円で“叩き売り”された裏事情…早くも「転売」懸念も

文=編集部

 アントラーズは、17年からスポンサーになったメルカリと、クラブをどうやって成長させていくかを議論しているなかで、経営権をメルカリに移すことになったとされる。成長戦略を描いた時、経営環境の変化に即応できるIT企業を囲い込むのは有効な選択肢だ。

 メルカリにとっては知名度アップによる顧客層の拡大やブランド力の向上を図れる。新しいビジネス機会の創出にもチャレンジできる。まず、メルカリが展開するキャッシュレス決済サービス「メルペイ」をカシマスタジアム内で展開することになる。

 メルカリがオーナーになれば、日本製鉄本社から来る“天下り”社長の時代とは様変わりするだろう。これまでのアントラーズのフロントは強力だったが、今後は、メルカリがクラブ活力を削ぐようなことにならないのかと懸念する声がある。アントラーズに脈々と引き継がれている“ジーコ・スピリット”を殺さないでほしい、というのがファンの願いだろう。

 楽天とヴィッセルの関係を見てもわかるように、負けが続いたりしたら、オーナーは口を出したくなるものだ。アントラーズにメルカリという新しい血が入り、チームは強化されるのだろうか。スポーツの世界は「一寸先は闇」ともいわれる。メルカリとアントラーズの相乗効果を期待する声はいつまで続くのか。

「16億円は安すぎる」との声

 日本製鉄の橋本英二社長は「製鉄会社がノウハウのないサッカーのプロリーグに人や資金を出して企業価値を高め続けていくのは難しい」と述べていた。

 運営会社の株式は一部を保有し続けるが、旧住金の鹿島製鉄所(茨城県鹿嶋市)と地域が一体となったチームの運営は、名実ともに終わりを告げる。

 アントラーズの19年の純利益は4億2500万円と黒字である。チームの実績や知名度を勘案すると「16億円(という売却価格)は安すぎる」との声が関係者から出ている。

 旧新日鐵も住金も、野球やラグビーなどの社会人スポーツに力を入れてきた時期もあったが、経営合理化のなかで社会人チームは姿を消した。その流れからいって、アントラーズはプロリーグだが、例外扱いできなかったのかもしれない。

 メルカリの経営トップに「地域一体の運営」という意識があるのかは不透明だ。メルカリは新規事業に次々に進出してきたが、ダメだと判断すれば躊躇なく撤退する。アントラーズも、メルカリ得意の“転売”の対象にならないという保証は、どこにもない。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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