VWは14年の世界販売台数では2位だったが、14年度(14年4月~15年3月)の台数ではトヨタを抜いた。上半期を制覇したことでVWが15年もトップに立つとの見方がある。VWは世界最大の自動車メーカーの座に一歩近づいたといえる。
中国市場に暗雲
一方で、VWが下半期もトップを守り続けることができるか、疑問視する声も挙がっている。ドル箱としてきた中国市場に暗雲が漂い始めたからだ。月次の世界販売では4月以降、前年実績を割り込んでいる。VWの首脳は15年の世界販売台数を「前年水準(1014万台)を維持する」と、これまでの見通しを下方修正した。期初は「穏やかな成長(微増)」を見込んでいた。中国市場については「市場の転換点にあり、競争はより厳しくなっている」と予測した。
【2015年上半期 中国上位5社の中国販売台数】
※以下、順位、メーカー名(合弁先)、販売台数(前年同期比)
1.上海大衆(上海汽車とVW)、93万8800台(▲0.2%)
2.一汽大衆(第一汽車とVW)、80万4000台(▲11.3%)
3.上海通用(上海汽車とGM)、78万9100台(▲3.2%)
4.北京現代(北京汽車と韓国・現代自動車)、51万0300台(▲7.7%)
5.東風日産(東風汽車と日産自動車)、47万4500台(0%)
(北京商報調べ)
VWの中国合弁会社、上海大衆と一汽大衆の今年上半期の中国販売台数は、前年比3.9%減の174万台強だった。前年割れは10年振りの事態だ。今年の販売目標は上海大衆が200万台、一汽大衆が185万台の合計385万台。上半期の落ち込みを見れば目標の達成は極めて難しい。
上海株式市場で株価の乱高下が続くなか、中国経済は減速感を強めている。中国市場全体の新車販売は上半期で1.4%増と急ブレーキがかかった。中国汽車工業協会は今年の中国の自動車販売の伸び率を年初の7%増から3%増に下方修正した。
VWを世界販売台数トップに押し上げる原動力となった中国市場が失速してきた。中国市場の急ブレーキは、中国市場に頼ってきたVWには大きな痛手だ。下半期にトヨタは日本市場で回復できるのか。対するVWは中国市場での落ち込みを、いかにして食い止めるかにかかっている。いずれにせよ、マイナス幅を小さくしたほうが勝つ。
(文=編集部)