【続報:新展開】
ユニゾHDは8月16日、HIS(エイチ・アイ・エス)に仕掛けられた敵対的TOB(株式公開買い付け)への対抗策を発表した。
ソフトバンクグループ系の米投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループがホワイトナイト(友好的な第三者の買収者、白馬の騎士)として、TOBを8月19日から10月1日まで実施する。買収価格は1株4000円。8月16日の終値4165円より安いが、HISの買い付け価格3100円を29%上回る。最大で全株(3422万295株)を買い付け、完全子会社化を目指す。取得資金は1368億8118万円。取得株式が3分の2を下回るとTOBは不成立となる。フォートレスが設立したサッポロ合同会社が買い手となる。ユニゾHDの有利子負債(約5500億円)も含めた買収総額は7000億円規模となる。国内企業に対するM&Aでは19年で最大となる見通しだ。
フォレストは世界最大規模の不動産投資ファンドを運営している。ユニゾHDはHISに対抗するため水面下でホワイトナイトを探していた。企業や投資ファンド16社と接触。最終的に4社が残ったが、「フォートレスは当社の経営方針を尊重しており、オフィスやビジネスホテルへの投資の豊富な実績がある」(ユニゾHD)ことから、フォートレスに絞り込んだ。フォートレスはマイスティズブランドでホテルを展開している。17年にソフトバンクグループの傘下に入り、18年に三菱マテリアルの不動産子会社を買収している。
「フォートレスの親会社のソフトバンクグループは今回の決定に関与していない」(関係者)としているが、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長とみずほフィナンシャルグループの佐藤康博会長は「一心同体の関係」(有力金融筋)である。ユニゾはみずほ系の不動産会社の1社である。
TOBが成立した場合でも、「ホテルユニゾ」などのブランド名はそのまま存続する、という。上場は廃止される。
フォートレスの参入でユニゾの争奪戦に発展した。HISは8月16日、「ユニゾの意思表明について精査している。対応が決まればコメントする」とした。HISのTOBの期限は8月23日である。3100円の提示価格を引き上げて対応するのか。HISの出方が次の焦点となる。
8月16日のユニゾの株価は一時、570円高の4170円の年初来高値をつけ、終値は4165円(565円高)である。HISが提示した3100円より35%も高い。このままだとHISのTOBは不成立に終わる。
「物言う株主」として知られる米エリオット・マネジメントがユニゾHD株を9.9%保有している。投資目的としているが「建設的な対話や助言などを行う可能性もある」と含みを残す。エリオットはTOBに関与して、赫赫たる戦果を挙げている。
エリオットがフォートレス(=ユニゾHD)側につくのか。HISと共闘するのかも見えていない。まだ紆余曲折がありそうだ。