世界的ヒット「獺祭」生んだデータ分析はパート女性?データサイエンティストは不要?
それは、データサイエンティストがいないとできないことか?
「21世紀で最も魅力的(セクシー)な職業」。データサイエンティストは今、世の中で強く求められている職業だ。
日本でも、『データ・サイエンティストに学ぶ「分析力」』(ディミトリ・マークス、ポール・ブラウン/日経BP社)や『統計学が最強の学問である』(西内啓/ダイヤモンド社)などの本がベストセラーになったこともあり、データサイエンティストという職業を見聞きしたことがある人も多いだろう。
数年前、グリーやディー・エヌ・エーなどがプログラマに高額な報酬(新卒年収最大1500万円)を支払っていたように、ここ最近では多くの企業が高度なデータ分析・解析を得意とするデータサイエンティストに高額な報酬を提示し、採用を強化する兆しにある。世界的コンサルティングファームのマッキンゼー・アンド・カンパニーによると、データサイエンティストのニーズは一層高まることが予想される一方、必要な分析スキルを持った人材は世界レベルで不足し、米国だけでも2018年には20万人弱が不足すると算出している(McKinsey Global Institute「Big data: The next frontier for innovation, competition, and productivity」)。
そもそも、このデータサイエンティストが注目される背景にあるのは、ビッグデータだ。ビッグデータに関する取り組みを進めていく中で、企業の手元には大量のデータが集まってくるようになった。ただ、データを集めたものの、そこから分析・活用して成果を出すためには何をしていいかわからない。そのような中で、大量のデータの山を相手に、魔法のように分析して答えを導き出すデータサイエンティストは必要不可欠な存在になってきた。
しかし本当に、データサイエンティストがいないとできないのだろうか?
ビッグデータという言葉が広まるよりもずっと前からデータ分析に取り組み、データ分析に関することはほとんどやり尽くしてしまった、というような企業であればデータサイエンティストを採用するメリットはある。ところが、実際にはそうではない企業――まずは、データを基に顧客の実態を把握し、データを活用した施策を強化するという段階にある企業――も多いのではないだろうか。
せっかくデータサイエンティストを採用して高度なデータ分析をさせたものの、そもそもデータよりも経験・勘を重視する組織風土のため、データ分析結果が活用されずに終わってしまった、という笑えない話もありがちだ。