ほかには、専門や特殊性が高く人材流動性も高い業界にいる人が、人材エージェントやヘッドハンターに優秀な人材や同業他社に転職したがっていそうな人材を紹介することで仲介手数料をもらえたり、ベンチャー企業に潜在顧客となり得る取引先などを紹介することで謝礼をもらえたりしている人もいました。自分にとっては日々目の前にあって特に価値もない情報が、他の人にとってはとても価値のある情報だということに気づいて、かつ会社員としての信用を失わないようにしてその情報を活用している人のことを初めて知ったとき、目からウロコの思いを抱いたのを覚えています。
ただし、こうした取り組みにおいては、どうやって発注者、顧客を探せばいいのかという問題が横たわります。じっくりと人に相談しながらたどっていくのもいいですが、会社員をしていると、どうしても人との接点の広がりには限界がありますし、時間的な制約がありますので、なかなか難しいでしょう。
そうした場合には、仕事のマッチングを仲介するサービスを利用することも、積極的に検討していいのかと思います。例えば、自分の会社が属している業界の情報や業務内容について、それを求めている第三者からヒアリングを受ける候補者として登録しておき、引き合いがあれば対応するというサービスがあります。ほかにも、自分で提供できる情報やサービスに対して時給を設定して、30分単位で購入してもらうサービスや、個人ベースのコンサルタントと中小企業をマッチングするサービスなどもあります。
最近のサービスのトレンドの一つに、空き時間や使わない所有物を切り分けて、それを必要とする他人に使ってもらうという流れがありますので、会社員の自覚なきノウハウや専門知識を有効活用する方策を実現させるサービスも活性化してくるものと思われます。
厳密にいえば、会社員の仕事で身につけた知見を本業以外に活用するのは、就業規則等に違反してしまうのかもしれません。ただ、もともと会社員としての仕事では対象としない課題を手伝うのであれば、実態としては会社に機会損失や損害を与えるわけではありません。もちろん、副業に一生懸命になって会社員としての本業に支障をきたしてしまったらNGですので、それを回避することは強く意識しなければなりません。例えば本業の仲間との飲み会と、副業の打ち合わせがバッティングした時にどっちを優先すべきかでさえ、慎重に考えるべきです。そうした点を注意し、リターンを考えれば、公序良俗や常識に反するような領域に踏み出さない限りは、本業の能力を使った副業というのは、取ってもいいリスクではないかと筆者は思います(当然ながら、判断は自己責任でお願いします)。