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このような問題意識のもと、ダイキンは入社2~5年目ぐらいの若手から資質があると見込んだ社員を年10人前後選び、幹部候補者として育成するプログラムを導入しています。指揮命令は配属先の上司ではなく会長と社長であり、例えば「ミャンマーに進出する。どんな販売網を構築すべきか」などの課題を与え、海外に派遣して戦略を提出させます。資格や賃金は同期入社の社員と差を付けず、修羅場で経験を積ませようということが狙いになっています。
従来のように一律の人事マネジメントで人材を育てるのは限界があるものの、かといって年功色が濃い人事制度を廃止し成果型の人事制度に移行するのは難しい。そこで、既存の人事制度を残し、必要に応じて特定の人材だけを“例外管理”で育てるという複数の道を用意するほうが日本ではうまくいくとの考えのもと、実行されています。
また、「一流の戦略をつくっても時間がかかりすぎ、商機を逃しては意味がない。“二流の戦略、一流の実行力”でいい」「走りながら柔軟な発想で戦略を修正していく。それぐらいの勢いで挑まなければ、世界の戦いには勝てない」といったコメントも成果を上げるための知見に満ち溢れています。
もちろん、報酬としてのお金はすべての人にとって重要な問題です。しかしながら、働くことにおいて、お金が一番にくる人はそれほど多くないと思います。それよりも、挑戦できる機会を得て、正当に評価されることを多くの人が望んでいるでしょう。
よって、ダイキンのようにお金と直接結びつけない人事マネジメントではあっても、大きな効果をもたらすのではないかと思われます。こうした日本企業に適した健全な成果主義が試行錯誤を重ね、日本企業に根付き、競争力が高まることを期待しています。
(文=大崎孝徳/名城大学経営学部教授)
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