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一方、JTの木村宏社長は4月26日の記者会見で、2500億円程度の買い取り枠を設けて、政府が売却するJT株を買い取る意向を明らかにした。政府に代わって新たな大株主が現われて、経営を左右するような事態にならないようにするためだ。
かたちの上では、旧専売公社の生え抜き組の悲願だった完全民営化に一歩近づくことになる。世界首位の米フィリップ・モリスや同2位の英ブリティッシュ・アメリカン・タバコなどの海外勢は民営だ。安いコストで原料を調達できるし、資本市場からの資金調達もフリーハンドで行える。だがJTは、日本たばこ産業株式会社法で増資をするには政府の認可が必要。認可後も政府の出資比率が3分の1を下回ってはならないことになっている。生え抜き組は海外勢と互角に戦うためには、同法の廃止と国が保有する全株の売却→完全な民営化が不可欠と考えている。
JTが4月23日に開いた社長交代の記者会見で、会長、社長ともに生え抜きになることについて、次期社長に小泉氏を指名した木村・新会長は「官庁であれ民間であれ、学識経験者であれ出自にこだわることは全くない」と人物本位のトップ人事であることを強調した。とはいえ、政府が出資比率を3分1に引き下げても、筆頭株主であることには変わりない。最大の株主である財務省は、その気になれば、どんな人事もできるわけだ。有力な天下り先であるJTの会長ポストを簡単に手放すことはないだろう。
(文=編集部)
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