副業を行う場合、その目的を明確にしておく必要があります。会社員を続けながら副業に取り組む以上は、時間をやりくりしたりリスクを取ったりしなければなりません。まずは目的や優先順位を明確にして行動すべきです。目的としては、以下の4つに分類されます。
(1)本業を生かしながら果実を得たい
(2)日々を楽しくしたい、ストレスから解放されたい
(3)(本業に関係なく)効率良くカネが欲しい
(4)とにかく早く少しでもカネが欲しい
本連載前回までは(1)と(2)について取り上げましたので、今回は(3)と(4)について考察したいと思います。
(3)効率良くカネが欲しい
会社員の本業とは別の場で効率良くお金を稼ぐには、不動産、太陽光発電や株式など投資という領域があります。自己資金が少なくても借金をして誰でも大きく稼げる機会がある一方で、やはりリスクも大きいため、著者はあまりお勧めしません。
ただ、勧めない理由としては、リスクよりも、会社員の本業にとって有益に蓄積されていくものが少ないことを挙げます。副業にはいくばくかの時間や精神力を使うので、本業との相乗効果があるほうが得られるものが多く、長い目で見て効率が良いという捉え方です。もちろん投資には一攫千金の可能性がありますので、本業とはまったく関係のない別の世界に一足飛びに行ける夢があることは事実です。
しかし、不動産賃貸業や今流行っている自分の部屋を指定した日時だけ旅行者などに貸すことで宿泊料を得るサービスに取り組んでみるのは、「どうやって顧客を増やそうか」と考えることが必要であり、他人の感覚や嗜好を推測してアクションを起こすような普通の事業としての側面があります。それ自体を楽しんでのめり込めるようであれば、ビジネス感覚の蓄積として会社員の本業にも役に立ってくることもあるかと思います。
(4)とにかく早く少しでもカネが欲しい
会社の状態が良くなかったり、人事制度の変更のあおりを食ったりして、給与や賞与が急に下がってしまい、その穴埋めのためにアルバイトをしているという方に何名かお会いしたことがあります。平日の昼間は会社員としての仕事をし、平日の夜や休日にパチンコホールやビルの清掃、コンビニや外食チェーン、居酒屋などでスタッフとして働くようなかたちです。ほかにも、クラブで働く女性を深夜送迎する運転手、まとまった休暇をとって開発中の薬の治験へ参加するといった例もありました。著者が数年前に海外出張に行った際に現地の通訳としてやってきた方は、普段はゼネコンの会社員をしている人でした。近所のお年寄りを相手に「なんでも屋」のようなことを、受けられるタイミングに限って受けている方もいらっしゃいました。